劇場公開日 2021年1月22日

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「朴正煕暗殺に至る経緯を描いた佳作」KCIA 南山の部長たち yoneさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0朴正煕暗殺に至る経緯を描いた佳作

2021年2月2日
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鑑賞方法:映画館

韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領。
ちょっと前に大統領をやっていた朴槿恵(パク・クネ)のお父さん。

私は韓国の歴史は詳しくないので、戦後の韓国政治がどんな風に推移してきたかを知らない。それを知ろうと思う、良いキッカケとなる良作だった。

韓国は戦後ずっと軍政だったんだな。。
これを書いている2021年2月現在、ミャンマーで国軍がクーデター起こして大騒ぎになっているが、軍人が政治やっても良いことなど何もない。それはこの数百年の歴史が証明している。しかし、韓国では1987年に盧泰愚(ノテウ)大統領になり、ようやく民主化が実現できたのか・・まだほんの30年前じゃないか。

私は今45歳なので、私と同じ世代の韓国の人なら軍政時代を知ってることになる。韓国では政治デモが盛んだが、長い苦しみの上に勝ち取った民主主義だからこその行為なのだろう。日本の現状と比べると何とも自分達が情けなくなるが。。

この映画では、その朴正煕暗殺までの40日間を描いている。

主演のイ・ビョンホンがまた渋い。良い俳優さん。
当時の中央情報部(KCIA)部長で暗殺を実行した金載圭(キム・ギュピョン)を演じている。キム・ギュピョンはその後死刑になるが、この映画の最後に本人の音声が流れる。これがまた素晴らしい。韓国内で再評価されているらしいが当然だろう。

周りの俳優の演技も本当に良かった。
しかし、韓国映画のレベルは明らかにもう日本を超えてるな。最近のテンプレ化した日本映画など、アニメ以外は観る気がしないもんな。。日本の俳優って、アイドルがテレビで有名になったついでに俳優やる、とかばっか。全然違う仕事なのに。韓国では、というか、他国ではその棲み分けは当たり前にやってるだろう。映画の音楽も感動を強要するテンプレ音楽でホントに観る気が失せる。

韓国の映画界は、黒沢・小津監督時代の昔の日本に似た状況なのかもね。
そのまま変な方向に曲がることなく、良い作品を生み出し続けてもらいたいものです。

yone