劇場公開日 2021年1月22日

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「自国の暗闇にメスを入れる韓国映画人の英明さ」KCIA 南山の部長たち イコンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0自国の暗闇にメスを入れる韓国映画人の英明さ

2021年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

映画『KCIA南山の部長たち』を観る。
1979年に韓国で起きた朴大統領暗殺事件は当時、日本でも側近による射殺という表面しか伝わらない謎多き事件だった。
それから30年を経て、長女のパク・クネが大統領になった時でさえ、朝日の天声人語は凶弾に倒れた家族の不屈の物語として伝えた。
しかし、その英雄譚は数年で地に落ち、新たな苦難の歴史が始まっている。
そう、、隣国では死闘の末、権力を勝ち得、そして、そして最後は敗北して行く。
日本のように仮病で楽隠居出来る訳は無く、検察、メディア そして市民が声を上げて、権力から引き釣り下ろす。
それは20年にいっぺんフランス革命をしているようなものだ。
牢獄に収監される、嘗て指導者を見ると、そこまでしなくても、、という気持ちになるが、主権者は国民なのだと気付かされる。
しかし、この41年前の暗殺事件だけは、個人の営為
その自国の闇を丹念に掘り起こし、外国人にも見れるようなエンターテインメントに仕上げて、それが2020年度 最も多くの観客を得たという事実に韓国映画界の深さと観客の聡明さを感じざるを得ない。
劇中 朴正煕 と部下(暗殺者)キム・ギュピョンが大日本帝国陸軍 時代に仲間だった時を思い出して 「あの頃は良かったな」と述懐するシーンがある。
この映画で、そのシーンにはハングルの字幕が出る。
何故なら 彼らは 日本語で それを語り合うから。
ここに 韓国の混乱のルーツに日本が深く関わっていた事に気付かされた。

イコン