「彼は英雄なのか?」KCIA 南山の部長たち Puti Nakiさんの映画レビュー(感想・評価)
彼は英雄なのか?
A man's path isn't always filled with laughs, but a storm can
not stop a man with determination
子供が野球よりもサッカーに憧れ、地上波では見れなくなった原因を作ったトレード問題や女子はテンポの良い曲で太ももをあらわにする開脚ダンスを踊り、 のび太さんは、大学入試に失敗した。そして一大イベントの第2次オイルショックなのに浮かれていた日本の1979年... お隣韓国では、「漢江の軌跡」という30万人を超すベトナム人を虐殺した戦争を土台に日本とは今ではティッシュペーパーよりもペラペラな "日韓基本条約" を批准し11億ドルを勝ち取って経済復興を成し遂げた英雄であり、また民主化を遅らせた強権の方でもあるパク・チョンヒ大統領暗殺の40日間を描いている本作『KCIA 南山の部長たち』
You too, Brutus, my son!
パク・チョンヒ大統領暗殺を描いた2005年のシニカルなブラック・コメディ映画『The President's Last Bang』でも日本人とされる女性演歌歌手の曲をスボンという役名の女性が弾き語りで歌うシーンがある。それと同じように中央情報部部長キム・ジェギュとパク大統領が日本語を話すシーンは、ある意味彼らが戦時中に日本の軍事訓練を受けていて、韓国の方からすると売国奴的なイメージもあり、また映画の登場人物の名前が改変されているのは、前出の映画『The President's Last Bang』で訴訟を起こされた経験に基づいている。
中央情報部部長キム・ジェギュとパク大統領とは同郷でしかもパク大統領がKCIAの部長まで引き上げた側近中の側近の裏切り...
Cambodia killed three million people, is it such a big deal if
we kill one or two million?
本作品でも作中に話のネタとして登場する思想・芸術などの運動で、その先頭に立って活躍するイアーゴーを『オセロ』の凶悪な悪役として認識するかもしれない。 嫉妬、裏切り、政治的闘争に満ちたとされるシェイクスピアの四大悲劇の一つ。映画の原題名『The Man Standing Next』からするとその人物は誰なのかをシェイクスピアの『オセロ』を直接適応させるわけではなくても演劇から一般的なインスピレーションを受けることができるかもしれない。
韓国としてはキム部長を暗殺後、直ぐに処刑しているので、彼の直接的な動機はうやむやになっているとされている。狂人の発作的な行動なのか? それとも国の民主化を進める英雄なのか? 本当のところは藪の中とされている... "heartthrob" と呼ばれるイ・ビョンホンがKCIA部長キム・ジェギュを演じているという事は同情的な描写や背景を得て彼は悲劇的かもしれないが、まだ英雄である描き方をされている。彼はパク大統領と大統領の側近による民主化デモを激しく抑圧する計画に反対し、「カンボジアは300万人を殺した。我々が100万人か200万人を殺すならば、それはそんなに大きな問題なのか?」とうそぶく言葉に反応する... 韓国で最もハンサムな俳優の一人であるイ・ビョンホンをキャスティングしたことでキム部長のイメージも傷つけることはなくなり、彼は民主化の英雄として描かれる。
この映画は韓国の内向けの作品というよりもヒッチコック監督が描くスパイ・スリラー映画の持つハリウッド向けに作られた映画と言えて、アップテンポなプロットと二重交差するシナリオに国家の安全をも揺るがす人による裏切りをスリリングな演出で描いているのでオスカーの外国映画賞に韓国代表として選ばれたのが分かるような気がする。