「笑えない感動しない残らない」すくってごらん きんぎょさんの映画レビュー(感想・評価)
笑えない感動しない残らない
尾上松也、百田夏菜子、石田ニコルのキャスティングは良かった。ただそれだけの映画。
監督による事前PRでは「美しい映画」との触れ込みだったが、ファーストカットから糞の漂う金魚の絵で席を立ちたくなった。
金魚の町の絵作りやプロットも不十分。
原作コミックでようやく補完できるが、脚本も未熟。センスもないのにラップや作詞に挑戦していてキツかった。
主題歌は試写でも非公開にして情報を隠していたので期待値が上がっていたが、せっかく百田夏菜子が歌っているのに、伝わらない歌詞のせいで少しも感動できなかった。
歌を評価する口コミがあるとしたら、褒められているのは彼らの声・ポテンシャルで、楽曲や演出は最低レベル。こんなつまらない映画が作れるのかと勉強になった。
大和郡山が花町であった歴史から、妖艶な金魚の町を描きたかったのだろうが、真壁監督に蜷川実花のようなセンスはないのだから、普通の生活に金魚すくいが馴染む町を目指すべきだったと思う。
それから電話ボックスに金魚を泳がせた水槽は、以前大和郡山に設置され観光資源とされていたものだが、そもそもがパクリであり、本来の作者の訴えにより撤去されている。そんなものを上映するモラルのなさも苦手。
監督は百田夏菜子の髪型にこだわったと言うが、ボブの美女を描きたければ、切るべきだった。内巻きのショート風のアレンジにしか見えず、あれはボブではない。湿気の多い季節だったのか波打っていて汚い。
歌を使ったエンタメならももクロのいつものライブの方が余程感動できるので、この映画に費やした時間と金は大変な無駄であった。