「難解なショート」そこにいた男 R41さんの映画レビュー(感想・評価)
難解なショート
難解な作品
あの「さがす」と「岬の兄妹」の監督とスタッフの作品
監督はこの作品に必ず何か仕掛けている。
最後にオチがくる。
役者のショウ
彼を好きになって貢いでいく女サキ
冒頭に起きた事件の生々しさがリアルさを生み、オチなど想像できない。
サキは自動販売機で飲み物を買い、お釣りが機械の下に転がったのを半ケツを出しながら必死になって探すショウを見て笑う。
サキの夢は彼女の思いの表れだろう。
サキはショウの本当の姿を見て笑ったのは、自分自身の盲目さに気づいたからだろうか。
盲目になっていた自分自身を笑ったのかもしれない。
その直前 面会所で目を閉じたのがオチに繋がっているが、「”ユウコ”ってショウくんが最後に言っていた」ということを彼女に言えたことが、サキの想いだったのだろう。
つまり浮気をしているだろうショウを心の憶測で気づきながらも口に出せなかったことを、夢の中で口に出したことで「盲目」の幻想から抜け出せたのだろう。
さて、
タイトルもまた難解だ。
男とはショウに間違いない。
そしてタイトルの言葉を言ったのはサキだろう。
「そこ」とはサキの頭の中の認識だったのだろうか。
「いた」のは、思い込みの中で見ていたショウだったのだろう。
盲目に好きになっていたショウという男
彼が何者なのかほとんど知らないサキ
ジャケットも礼服も車も借金をして買い与えたのも間違いないだろう。
サキの言った「捨てたい過去」
サキの場合は、肩の傷から虐待だろうか。
そしてショウの場合は、本当の自分自身だろう。
その延長線に見てしまった夢と、まだ引き返すことができること。
サキは急に熱が冷めたのだろう。
ショウの本性を知りつつ、どうしようもなくなっていた自分の将来を夢で見た。
本当のショウという人物は、あんなにもかっこ悪い男だった。
映画製作会社が潰れたことでデリヘル嬢をしなくてよくなったにもかかわらず、ショウガ感謝してくれるからやってもいいと思っていた矢先の出来事
それが「夢」と自販機だったのだろう。
つまりこの作品は、似たように盲目になっている人たちに「目を覚ませ」と言っているのだろう。