劇場公開日 2022年9月16日

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「死の向こう、生きるとは。」川っぺりムコリッタ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 死の向こう、生きるとは。

2025年10月17日
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鑑賞方法:VOD

誰かが亡くなると死について何かしら考える。自分の大事な人が死んだらとか、自分が死んだらとか、遺族のこととか、人によっては死後の世界についてとか、もっとシンプルに故人との思い出とか。
何度も何度も経験すると次第に何も考えなくなるが、逆に言えば、死について考えることの答えが自身の中で確定したからとも考えられる。

この作品は誰かが亡くなることについて、その死との向き合い方のドラマであり、そして、その先についてだった。
死に怯える者、再び会いたいと願う者、ただ静かに弔おうとする者、キャラクターによって反応は様々である。そこに答えなどない。永遠に悲しみ続けてもいいだろうし、なかったことのように振る舞ってもいいだろう。大事なのは、自分はまだ生きているということだ。

死の対極は生だ。
死について語るドラマでありながら中身は生きることを大いに讃える。特に食べるシーンの多さは印象的。
もちろん食べるとは生きる上で欠かせない要素度の一つだ。食べることは生きることと同義と言ってもいい。
泣いて笑って食べる。もうそれだけの物語だったのではないか。
ただ食べるだけではなくて、生きている者同士笑いながら生を噛み締めるシーンの連続は、人死の多い物語でありながら明るく楽しい気持ちにさせてくれる。
生まれる時と死ぬ時が刹那であるならば、その間の生は多くの人にとってもっと長い時間、ムコリッタである(実際はムコリッタよりずっと長いけれど)。

コメディ作品のように面白いキャラクターが多くて、それだけでも楽しかった(そもそもある意味でシュールコメディなのかもしれないが)。
特にムロツヨシ演じる島田さんはアクが強すぎて面白かった。

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つとみ
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