「荻上直子監督は好きな監督だ。 「かもめ食堂」と「めがね」を見たことがある。 この映画では「ハイツムコリッタ」というアパートが舞台になっている。」川っぺりムコリッタ ドン・チャックさんの映画レビュー(感想・評価)
荻上直子監督は好きな監督だ。 「かもめ食堂」と「めがね」を見たことがある。 この映画では「ハイツムコリッタ」というアパートが舞台になっている。
動画配信で映画「川っぺりムコリッタ」を見た。
2021年製作/120分/G/日本
配給:KADOKAWA
劇場公開日:2022年9月16日
松山ケンイチ(山田たけし)
ムロツヨシ(島田幸三)
満島ひかり(南詩織)
吉岡秀隆(溝口健一)
江口のりこ(中島)
柄本佑(堤下靖男)
田中美佐子(大橋)
緒形直人(沢田)
荻上直子監督は好きな監督だ。
「かもめ食堂」と「めがね」を見たことがある。
この映画では「ハイツムコリッタ」というアパートが舞台になっている。
アパートは川っぺりに建っている。
ムコリッタ(牟呼栗多)とは、
仏教における時間の単位のひとつで、
1日24時間の1/30、48分を意味する言葉らしい。
プロパンガスのタンクに富山市と書いてあったので
舞台は富山市と思われる。
山田(松山ケンイチ)は刑務所を出たばかりのようだ。
イカの塩辛の工場に勤め始める。
社長の沢田(緒形直人)はとてもいい人のようだ。
ベテラン社員の中島だが、
これを演じたのが江口のりこだとは気づかなかった。
金がなく食うにも困っていた山田の部屋に、
隣の部屋の住人、島田(ムロツヨシ)が庭で栽培した野菜を差し入れてくれた。
山田はそれで飢えをしのいだ。
一文無しの山田は給料が出るまではお米も買えなかった。
島田の野菜の差し入れは頻繁になり、
そのたびに島田は山田の部屋の風呂に入り、
山田の炊いたご飯を食べ、
勝手にビールを飲むようになった。
最初は島田をうっとおしいと思っていた山田だが、
毎日のように食事を共にするようになった。
山田の炊くごはんが美味しそうで、
島田の作ったきゅうりがこれもまた美味しそうだった。
二人がきゅうりをかじる音が実にいい音を立てた。
人生のいちばんの楽しみはやはり食事だろうと思った。
山田は市役所から、
幼い頃に離婚して疎遠になっていた父親が死亡したので
遺骨を取りに来て欲しいとの通知を受け取る。
市役所の担当者(柄本佑)がとてもいいひとで、
仏をとても丁寧に扱ってくれていた。
このあたりの描写は阿部サダヲ主演の「アイ・アム まきもと」でも見たことがある。
遺骨をどうしようかと考えあぐねていた山田だが、
島田から「それがないことにしてしまうのはよくない」と言われ
遺骨を引き取ることにした。
この物語はその他に、
墓石の訪問販売をする父子(吉岡秀隆)と、
シングルマザーの大家さん(満島ひかり)と
2年前に亡くなった女性の幽霊などが登場し、
山田の日常生活を描いていく。
松山ケンイチは作品に恵まれていると思う。
もしかしたら作品の方が松山ケンイチを選んでいるのかもしれない。
評価はちょっと甘いかもしれないが
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。