劇場公開日 2021年11月19日

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「ドキュメンタリーなのか映画なのか」リトル・ガール hatakeyamadさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ドキュメンタリーなのか映画なのか

2021年12月14日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

この作品を観ると誰もが思う疑問だと思う。
これはドキュメンタリーなのか、映画なのか、なんなのか。
なにしろドキュメンタリーによくあるナレーションが全くないのだ。
それに途中でディズニー映画のワンシーンが挿入されたりもする。
役者の演技(?)に作為的なところはない。
場面場面で煌めくような瞬間がある。
ただ日常を撮って時系列に編集しただけのように見えなくもないのだが..私はこの作品が本当に現実を完璧に反映しようとして時系列順に編集したかどうか、とても疑問である。
現実を歪めたからではドキュメンタリーではないのか?と問われるとそれもまた否。
ただこれがドキュメンタリーかと問われると形式的に何か違うように思う。
だからといって映画的なわかりやすいカタルシスがあるわけではない。

まさにここが私がこの映画に美点を感じたところである。

カタルシスなしに現実を編集し映画として成立させた。高度な編集技術が介入した結果だろう。
すごい傑作だとは思わない。
ただ観る価値のある作品だとは思う。

彼女はドビュッシーの音楽にぴったりな"女の子"である。
監督は素材を選んだのではない。
素材からやってきたのだろう。
そう思えるだけの映画である。静かだが余韻が残る。

この作品への評価は編集を現実を歪めた虚構ととるか、"現実への細やかな抵抗"ととるかによって大きく変わるだろう。私は後者と感じた。
ヤコペッティとは違うのだ。

hatakeyamad