皮膚を売った男のレビュー・感想・評価
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#92 You can, but I can’t
冒頭から主人公が恋人とくっついているのを見てビックリした。
イスラム教の男女って人前で並んで歩かないんじゃないの?
彼女も顔丸出しだし。
ましてや結婚している元カノを追いかけて自分がアートになってベルギーに追っかけて行くなんて、主人公のぶっ飛んだ思考回路に最初っから驚かされっぱなし。
世界一強いパスポートを持てる国に生まれた私には何もかもが理解しづらかったが、唯一理解できたのは、ベルギー人の芸術家に向かって言うこのセリフ。
そうか、世界的制裁を受けてパスポートがあってもビザなしじゃどこにも行けない主人公は、体を売るしかなかったんだ。
前半は難民にならざるをえずに苦しむ主人公が最後にはその不自由さを逆手に取って自由を手に入れるのが清々しい。
タイトルなし
不当逮捕され難民になり、背中をアートにしてまでも《愛する彼女と幸せになりたい》とゆう強い信念で人生を切り開いていく、とゆうお話。
なので、タイトルで変な期待して観に行くと肩透かしに合う、私みたいに🙃
いつか、彼みたいに自身をオークションになんて時代がくるんだろうか🙄いや、もう存在していたみたい。知らないことって世界にたぁくさん溢れているんだな。
《誰にでも幸せになる権利は平等にある》とゆうあたりまえのことを、改めて教えてくれる。
ラストは急展開だけど、二人に幸あれ👏
内戦が続くシリア。 恋人アビール(ディア・リアン)と一緒に乗った列...
内戦が続くシリア。
恋人アビール(ディア・リアン)と一緒に乗った列車の中で浮かれたサム(ヤヤ・マヘイニ)は、そのときの発言がもとで当局から政治犯としてにらまれてしまう。
しかたなくレバノンへ脱出したが、アビールへの想いは募るばかり。
一方のアビールは、身の安全を心配した両親から、国外避難の道として外交官事務補佐の男と結婚させられ、欧州へ移ってしまった。
そんなある日、日々の食い扶持にも困ったサムが潜り込んだ芸術家ジェフリー・ゴッドフロイ(ケーン・デ・ボーウ)のエキジビジョンの場で、そのジェフリーから奇妙な申し出をされる。
それは、サムの背中を売ってほしいというもの。
サムの背中をキャンバスとしてアートタトゥーを彫る、サムは美術品の一部となり、大金とヨーロッパへの移住が可能となるというもの・・・
といったところからはじまる物語で、アート界で実際にあった事件にインスパイアされた監督のカウテール・ベン・ハニアが脚本も書いて映画化したもの。
発想自体も面白いが、実際にアートとしてあったというのだから驚きです。
映画は、アートというものへの皮肉な視点によって、物語自体に潜むヒューマニティ的な要素すらシニカルに描いていきます。
こう書くと、なんだか堅苦しい映画のように思えるけれど、映画の底に流れているのはサムとアビールのロマンス要素であるので、シニカルでありながらも、ある種のぬくもりのようなものを感じます。
映画は後半、アート作品と化したサムはオークションに懸けられ、そのオークションの場でとんでもないことをしでかします。
ここは、ヨーロッパにおける中東人への偏見がひしひしと感じられます。
中東の民といっても全員が全員、イスラム教徒ではなく、この映画でもアビールは髪を覆い隠していないところから察するに、ふたりはキリスト教徒かもしれません。
(実際、シリア人の1割ほどはキリスト教徒)。
最終的に、サムとアビールは故郷シリアのラッカに戻るのだが、サムはISに捕らえられてしまい・・・
と、ここから先は、アッという展開。
ちょっと人を食ったような決着にはニヤニヤしました。
アート映画ならぬ、アッと映画ですねぇ。
追記>
芸術家ジェフリーの作品をプロデュースする女性ソラヤ役の女優さん、モニカ・ベルッチに似ているなぁ、と思っていたら、あらビックリ。
モニカ・ベルッチでしたわぁ。
【11月12日/良い(11)皮膚(12)の日/アートの価値】
ニューズウィークが、11月12日が所謂「良い(11)皮膚(12)の日」で、そのため、この映画の公開日に決まったと伝えていた。
えっ!?マジ!?シリア難民問題を扱うのに、ちょっとふざけすぎじゃないかと考えてしまって、鑑賞を数日ずらした。
しかし、今日(16日)、「皮膚を売った男」を観て、これは、11月12日に観ても良かったと思っている。
それは、この作品は、シリア難民問題を背景にしながらも、アートとは何か、アートの価値とはどんななものなのかを世に問うている気がしたからだ。
良い皮膚の日の公開は皮肉っぽい感じがしたのだ。
そして、数年前に公開された映画「アートのお値段」も思い出された。
ところで、この作品には、実在のティム・ステイナーというモデルがいて、アーティストのデルボアが彼の背中にタトゥーを施し、そのタトゥーは「TIM」というタイトルで、アートコレクターに売却、死後に皮膚をはがすことを条件に売却額の一部をティムは受け取り、更に各地で展示されるデルボア展で「TIM」を展示することで報酬を得たりしている。
(以下ネタバレ)
この「皮膚を売った男」は、これにインスパイアされた作品なのだが、シリア難民という国際問題を背景にしながらも、そのタトゥーに群がるアートディーラーや美術関係者、ジェラシーや孤独、ラブストーリー、そして、ちょっとしたトリックを散りばめて、ストーリーを皮肉たっぷりに展開させているのだ。
映画「アートのお値段」では、無名のアーティストの作品が、アートディーラーの戦術でコレクターに高額な値段で売却され、アートディーラーがいかにも需要と供給がマッチした結果だとドヤ顔で主張したのに対し、若いアーティストは、本当は、自分の死後でも、自分の作品が美術館に展示されるようになることが本望なのだと本音を吐露する場面がある。
実は、この作品の脚本は、デルボアに許可をもらっているらしい。
アーティストは、現在の金余りの世界で、必要以上に高額で作品が取引される状況を理解し、きっと憂いてもいるのではないだろうか。だから、デルボアは二つ返事で、映画にゴーを出したのだ。
「皮膚を売った男」のサムの背中のタトゥーのオークションの価格は、500万ドル(約5億7500万円)だったが、「TIM」の実際の売却額は日本円に換算して約1900万円で、まあ、映画作品として誇張されたんだろうなと笑ってしまった。
この「皮膚を売った男」をご覧になった人は、是非、アートとは何か、アートの価値とはどんなものかを考えて欲しいと思う。
そして、エンディング。
映画の予告で、ISらしい連中が、サムを殺害する場面を何度となく見ていたので、状況はあっと言う間に理解できたが、シリアの一部を占領し、大量のシリア難民をうむきっかけにもなったISも、この作品は何気にバカにしていて、なかなか好感の持てるストーリーだなと思った。
最後になるが、なかなか好転する兆しはないが、シリア問題が良い方向な向かうことを祈りたい。
※ 実は、作品としての「TIM」の画像があるはずと思ってGoogleで検索していたら、この映画はくだらないというブログが、たまたまヒットしてしまって、ちょっと読んでみたら、このブログの方がくだらなかった。
批判には結構ありがちな、人物設定や登場人物の性格にあれやこれやイチャモンを積み重ねていて、実はフレームワークを探るとか、深読みがない、木を見て森を見ずみたいな、暇人にありがちな内容だった。
そうそう「TIM」は、なかなか見応えのあるタトゥーです。
通訳と見せかけての
彼女との関係の行く末はどうなるのか、アート作品としての価値を存続できるのか、シリア人という境遇とどう向き合うのか、そして彼の望む自由は手に入るのか?どれもがメインとなっても良いテーマ。独特な設定から比較する作品が思い当たらず、どのような結末を迎えるのかと持続的に興味が湧きましたが、最後はまさかの展開からの皆がwin-winとなる結果で綺麗に収まったなと感心しました。
通訳と見せかけて彼女が彼に愛を示すシーンは、その演出に思わず心を奪われました。
言いたいこともあるが
アイデア一発映画として優秀じゃないでしょうか。
主人公の取った選択肢は、生存を賭けたり、尊厳を守るために、また人生をより良くするための必然性と説得力があります。
また、そもそも選択の余地があったのかという点もあり、せつなさも感じさせます。
テンポもダラダラせず、語り過ぎず、ワンアイデアの興味が持続する尺の範疇ですし、好感が持てました。
一方で、着地については、このお話が実際にある深刻な社会情勢と絡めているだけに、少し能天気にも感じてモヤっとしました。
個人的には、もっと突き放した、救いのないラストにしたほうが好みだったと思う次第です。
現実をライト感覚で皮肉った良作
シリアの戦禍と文化と人々の日常の同居感が最初のシーンにまず描かれていたなと思った。
結婚前の男女が人前でイチャイチャするのも良くないのかな?彼女は外交官との縁談が来るようなお金持ちで身分の違いからなのか?
そして、電車の中で発した一言が取り返しのつかないような事態に…
なんとか逃げられた緊張感、彼女のお屋敷に行き着いた挙句の高い壁、惨めな感じをそそるボタンを掛け違えたままのシャツ姿の主人公…
個人的に心がギュッと痛かったのは、お母さんとのスカイプ通話のシーン。こんな状況で主人公の人権がどうとか、人身売買だけに視点が向いていたのは私も同じ。
母国がどういう状況で家族の安否を気にしないなんてダメダメです、主人公も私も。
お母さんの脚、これもシリアの現実。
ガセネタ動画でハッピーエンド。
芸術は残るし、芸術家は名声を得たし、主人公は自由だし、主人公の家族にも多額のお金をきちんと払われていたし、彼女も無事に戻ったし。
よくできた作品だと思う。
実は昼間にやっている映画館を探して車で1時間かけて観た。この日この回は私の貸切だったのが残念だったな。
生きるための死
オンライン試写にて鑑賞。
正直、今作のタイトルを見た時に思ったのは違法な医療作品なのかなと思ったのですが、中身を開けてみたらビックリ、重厚な人間ドラマでした。でもこの考えも後々ある種の正解だったという事に気づきます。
自分はアートを見かける時に美しい、キレイだなと思うのですが、同時に怖いと思う事が多々ありました。この映画を観てよりそう思う事は正しいんだろうなと思いました。
サムの背中を欲しがる芸術家、よくよく考えたら人間の皮膚を買うというのは人身売買のようにも思える恐いシーンなのですが、お金と芸術、互いの思惑が合致した結果、その話は円満的に進むという衝撃的な展開になっていきます。
自分が美術品になり展示される、見せ物にされる、心無いことを言われる、サムの根気も中々なものですが、どんどんと諦めていくシーンも背中からひしひしと感じていて言葉の無い演技も濃いものに仕上がっていてとても良かったです。
内紛や差別、倫理観など社会的な問題も各場面に散りばめられており、しかもどれも邪魔になっていないのが凄い。1フィクションと思って鑑賞していたら、現実と密接している作品で、もっと知識を蓄えて見たら良かったなと少しだけ後悔しました。
終盤のオークションのシーン。自分が競り落とされるのはもうホラーですし、取引額もアートとして見れば高い部類に入るのかも知れませんが、人間としての価格と見れば異様な安さです。そりゃ逃げ出したくもなりますよ。
最後、サムが銃で撃たれ死に、皮膚だけ切り取られ飾られるという感情を揺さぶりまくって映画は終わりを迎えます。でも、死ぬ前に「これは生きるための死なんだ」都胸を張っていたので、これはハッピーエンドなのかバッドエンドなのか。検討もつきません。とても難しいのに面白い作品でした。
鑑賞日 11/2
鑑賞方法 オンライン試写会にて
皮膚だけに皮肉たっぷり
シリアのISがもたらした悲惨な状況と、その犠牲になった難民の物語。
身体をアート(物)にした方が自由に往来できるという皮肉で、人権やら国境の意味やらを問いたところが面白い。
芸術家が最初の方は話題作りと金にしか興味のない人に見えて、実は優しさの塊みたいだった、といった人情噺に落とし込んでいたのがよかった。
ところで全く個人的話で恐縮だが、タトゥーについて、話としては全然一致しないのに、終始『ブラック・ジャック』のヤクザを手術するエピソードと、『刃牙』の花山薫を思い出してしまい、なかなか頭に入ってこなくて困った。
全く共感出来ず
登場人物の誰にも共感出来ず、最後まで見続けるのが辛かった。
主人公の子供の様なワガママや乱暴な態度、元妻の優柔不断、芸術家の自分勝手さ、全てが微妙な感じ。
救いのあるラストも甘すぎ。
オススメ出来ない作品
大きすぎる自尊心と無価値すぎる自分
シリア難民や個人の自由が抑圧された社会をテーマにしているようだけど、もっと普遍的なものも感じられた。
それは、自分自身の無力感、劣等感、非存在感。
この激しい感情は国や文化を問わず、若者に普遍的にある感情なんではないだろうか?(男性の方が感じやすいと思うけど)
主人公はあとさき考えないで軽率に行動してしまうし、身の丈に合わない強すぎる自尊心があって、他人の気持ちや迷惑を考えることが苦手で、公共心がなくて…、正直言って彼が苦境に陥ることが自業自得すぎてまったく同情できない、のだが、これって無力感に苛まれている若者に共通の傾向ではないだろうか?
成長していって、社会を知って、現実を知るほど、自分が何者でもない、社会に必要とされていない、無価値とみなされていることに打ちのめされる。
自分が今のままでは無価値であることを受け入れて、「だから他人から必要とされる存在になろう」と前向きにがんばれれば理想だが、みんながみんなそんな強くない。
主人公は、背中のタトゥーによって自分の価値が高くみなされるほど、皮肉にも生身の自分自身には何の価値もないことを自覚してしまい、苦しむことになる。
ただ、そんなふうに苦しむ主人公よりももっと「哀れ」な人々も描かれている。
それは、彼を商品として買ったり、オークションに興じたりする富裕層である。彼らの姿は本当に醜い。金銭的価値がすべてを測る尺度になってしまい、自分たちが人間としておかしいという感覚すらも失ってしまったようにみえる。
最後のオチはちょっと非現実的に思えて、微妙だった。培養した人工皮膚に同じタトゥーを入れても、絶対に同じ見かけにはならないだろう。
それよりも、彼の背中の皮膚を切除して、培養した皮膚を移植して治療した方がはるかに現実的だろう。彼の背中にはひどい傷跡が残ることになるにしても。
素の肌、タトゥーの入った見せかけの価値をもった肌、傷の入った肌、という変化を見せることによって、よりテーマの深みも増すと思う。
この作品がアート
衝撃的なタイトルに惹かれて鑑賞!予備知識全く見ずに観たので実話だと勘違いしたまま最後まで観てました笑
(実在した人物に着想を得たとのこの)
ラブストーリーも織り交ぜながらの社会派ドラマなのかな?
難民×現代アートという発想がユニークで、アートの世界を知らない自分にとって少しはアートを知ることができた作品です。
人間って感情あっての生き物だから、アートにするってどうなんだろ、、、。
重厚な美術館やお洒落なホテルを観て早く旅行に行きたい欲が溢れ出す。
本作は鏡を使ったカメラワークが印象的で、本作そのものがアートなのかなと。
全55件中、21~40件目を表示