「大阪の猥雑さ、混沌」COME & GO カム・アンド・ゴー ピンクマティーニさんの映画レビュー(感想・評価)
大阪の猥雑さ、混沌
以前から気になっていた、外国人監督による大阪のアジア系在日外国人を描いた作品。
女性を商品として見て、金を生み出そうと搾取する男たち、
外国人を見下して労働力としてしか見ない日本人の会社管理職、
ビザと引き換えに学生から高額の学費をとる日本語学校経営者、
それは男性から女性、日本人からアジア系外国人、都会の人間から地方出身者と、立場の強いものから弱いものへの搾取という構造。
大阪という「都会」(実際はイメージされる「先進国」とはほど遠いのだが)でお金を稼ぐことを期待してやってきた外国人や地方出身者が、実際は「金のなる木」として利用され、上前をハネられ、人間同士の心の交流はないという現実。
そうして、やってきては去り、去っては誰かがやってくる大阪。
一方、消費される存在としての「大阪」。
インバウンドでたくさんの訪日外国人が、外食、サービス、モノ、性産業、すべてが「安い」大阪に群がっている。
それぞれの立場と事情で必死に立ち回り、日々を生きる日本人と在日アジア人の日常をジャッジせずありのままに描いている。
大阪での滞在経験の長い監督だからこそできた、観光客や日本人がふだん目にすることのない大阪の裏の顔。
この映画を見て、どう受け止め、考えるのかは私たち次第。監督からハイ、と宿題を出された気持ちがする。
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