「哀しき記憶」林檎とポラロイド MARさんの映画レビュー(感想・評価)
哀しき記憶
突如記憶喪失になる病が流行する世界にて、特殊な治療プログラムを受ける男の様子を描いた作品。
ひとりぼんやりとバスに乗っていたところ、いつの間にか記憶喪失に・・・。
次々出される奇妙な課題とポラロイド写真の撮影。一体何の役に立つのかまったくわからんプログラムだが、不意に元の住所を思い出したり、効果がでているのか?と思ったが・・・
終始、ローテンションな空気感で進む作品。
とは言え、個人的にもの寂し気な雰囲気の映画は好きなので、これは◎
記憶を失い、親族がいる様子もなく、只管主人公の孤独感がひしひしと伝わってくる。同じ症状の女性と出逢い、良い感じにもなるが好意というよりはこれもプログラムの一環。。どうやっても虚しさが漂う男の暮らしが哀しい。
スローテンポな展開の中にも、何故か袋から戻したシーンからは妙な違和感に引き込まれる。
一体この病の正体は何なのか?どういう落としどころに持って行くのかと思ったが…こういうことか。確かに、思い起こせばいくつもアレコレあったか。
終わってみればシンプルとも言えるが、これは読めなかったかな。思いの外気持ちよく裏をかかれ、映画の醍醐味も味わえたし、最後リンゴを食べる所は諦めというか決別というか…哀しさと同時に前に進む気持ちにもなれたのかな。
あとは、あまり深く考える所じゃないかもだけど、プログラムの内容はかなり気になったかな(笑)
トイレで・・・ってそんなの無理に決まってるでしょw ってかコレ記憶云々に関係あるの??
そしてもうすぐ親族が亡くなるという時にズカズカと近づいてくる他人なんて迷惑過ぎて普通誰も受け入れないでしょ。。
さておき、観る人によってはスローで退屈な作品かもしれないけど、少ない言葉でも深さを感じさせてくれる良作だった。