「テレンス・マリック」ソング・トゥ・ソング かとしさんの映画レビュー(感想・評価)
テレンス・マリック
撮影はエマニュエル・ルベツキ、役者はすべて大作で主演を張れる大物ばかり。
巨匠テレンス・マリックだからこそ、こんな贅沢な作品が撮れるのだろう。
作風は「聖杯たちの騎士」に近い。きっちり脚本を決めて撮ったというより、全体の大まかなプロットだけ決めて、あとは役者のアドリブが多めで散文詩風の演出になっている。
そしていつものボイス・オーバーのセリフの挿入。
商業作品としてはヒットしないと思うが、一冊の私小説を読み終えたような充実感はある。
さらにルベツキの撮影の美しいこと。
ホントにキレイ。
それと、なにげに役者の衣装がカッコいい。
ルーニー・マーラーの黒の細いパンツがカッコいい。
ファスベンダーの黒いジャケットがカッコいい。
ライアン・ゴスリングの青いシャツがカッコいい。
ケイト・ブランシェットの黒いアウターがカッコいい。
さらりとあんな着こなしができるカッコいい大人でありたい。
それと建物やインテリアのデザインや配色がモダンでミニマルでカッコいい。
イギー・ポップやパティ・スミスの出演も見どころ。
物語の展開はプロットの説明不足もあり途中ダレるが、最後で泣いた。
心の深くつながれたパートナーと出会い、結ばれ、暮らしていけることの幸福。
幾千幾万の物語で、繰り返し繰り返し語られてきたテーマなれど、とっても大事。
最後のセリフ 「This, Only This」。
たったこれだけ。
ただ、あなたが隣りにいるだけ、ただ、それだけで。
ありふれた日常が満たされたものになるのだから。