「三角関係からの恋愛哲学」ソング・トゥ・ソング 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
三角関係からの恋愛哲学
70歳も過ぎた爺さんが撮る映像のLOOKが斬新で素晴らしいテレンス・マリック節は衰えず、単に拗れた三人の恋愛模様を難解で複雑な物語に。
ファスベンダーが演じる男は「聖杯たちの騎士」でのクリスチャン・ベールとカブっている役柄に思われ、撮影もエマニュエル・ルベツキである訳で焼き直し感も否めない、ライアン・ゴズリングとルーニー・マーラの恋愛物語としてシンプルに描けていれば、ある意味「ブルーバレンタイン」と「A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー」を合わせたようで、ナタリー・ポートマンやケイト・ブランシェットは活かしきれず挙げ句の果てはクリスチャン・ベールの全カット、ベニチオ・デル・トロまで!登場人物のキャラ渋滞は収拾がつかず、何を描きたいのかテレンス・マリックの感性もブレブレ!?
ヴァル・キルマーの登場に"アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン"をイメージさせるパフォーマンスでもあり、太っちょライドンは"Pi L"として一瞬、イギー・ポップはソファーで語る姿が、パティ・スミスの重要な存在感は逸品で、レッチリは興味ナシ!?
音楽映画として特筆すべき場面は希薄で、心の声を哲学的に乱れる時間軸と断片的に紡ぐ映像の美的センス、単調には描けない単純な筈でもある男女が入り乱れた普遍的な物語。
コメントする