「衝撃的で悲しい」息子の面影 ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)
衝撃的で悲しい
BGMがほぼないだけでなく、字幕などの説明も全くなく、フイルムを繋げ合わせているだけみたいにも思える映像。なのでいつのことなのかも明確ではない。場所はメキシコで、多くの10代の若者や子供がアメリカに入って稼ぎ家族を助けることを夢見ている。ただ、不法入国者に対してアメリカも厳しい。
まだ中学生くらいの息子がある日友達とアメリカに発って行ったが、今からバスに乗ると電話があって以降2ヶ月も連絡がない。一緒に行った友達の母親と共に捜査を依頼すると、友達の方は殺害された写真が見つかったが自分の息子は結局行方不明で、一人捜査に向かう。国境に行けば移民の受け入れ先に行け、そこに行けばあそこに誰がいる、その人に会えばまた何処を訪ねろ、と、途中、途中で眼科医など色んな人に会って、ロードムービーというには厳しいが息子をたずねて三千里という感じ。
一方で国境を超えてアメリカで働いていた青年が国外退去になり、5年ぶりに母の住む実家に戻る。公共交通機関はなくヒッチハイクしか手段がない場所で、自分が不在の間にすっかり治安が悪化し物騒になっていた。荒れ野を歩いている時に主人公の女性を見つけ、声をかける。彼女に自分の母親の面影を感じたのか、親切にも家に招く。2人で自宅に着くと母親はおらず、そこには襲われた様子があった。
悲嘆にくれる彼に、自分の街に来るように言う主人公。2人の間に親子のような信頼が生まれていた時、自動車が。2人は藪の中に隠れるが、逃げきれないと判断した青年が投降した途端に射殺される。逃走した主人公も襲撃団の一人に捕まるが、それは紛れもなく息子だった。
実は国境に向かうバスが襲われ乗客が殺される中、そこで友達を殺すことによって息子は生き延び、襲撃団に捕まって一員となったのだった。
帰宅したら友達の母親に捜査の結果を聞かれ、見つからなかったと言えば慰れられるだろう。息子が生きているのは希望になるのか、絶望なのか。
また、貧困からくるメキシコの治安の悪さが怖過ぎる。何とか彼らに平和が来てほしい。