「後ろ姿は誰でも似てるよ。」息子の面影 はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
後ろ姿は誰でも似てるよ。
これはいつの時代の話なのかと思わず錯覚しそうになる。バスは必ず次の停車場に止まる。それが当然の日本では全く信じられないようなことが今、この瞬間も遠い国の国境沿いで起こっている。
メキシコ。貧しさから脱却するため多くの若者がアメリカを目指す。しかし国境沿いには悪魔がはびこっている。容赦なく命が奪われてゆく。盗むためだけに。ただそこにいるだけで。
帰らぬ息子を追って旅立つ母。手がかりを求め歩き続ける。そしてその先。母を待ち受ける悲しすぎる旅の終着点。本当に辛すぎる。でもこれこそがメキシコが抱える闇の正体。負のループからいつまでも抜け出すことができない。これは決してメキシコだけの問題ではない。世界は多くの困難や課題を抱えている。終始漂う悲壮感に反するかのように、メキシコの雄大な景色がただただ美しかった。夕日も雨も木々も炎さえも。
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