「時代を映す…新ヒーローチームの叙事詩!」エターナルズ しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
時代を映す…新ヒーローチームの叙事詩!
マーベル・シネマティック・ユニバース第26作。
通常スクリーンで鑑賞。
コミックは未読です。
MCUに今の時代を反映したヒーローチームが登場!
メンバー構成と個々のキャラクターが(国際色豊かなキャスティングも含めて)非常に多様性に富んでいて、ヒーロー像の固定概念を打ち破るかのような試みに、アメコミヒーロー映画ブームを牽引するマーベルの矜持を見たように思いました。
新たなヒーローが一挙に10人も登場すると知った時、真っ先に頭の中に浮かんだのは「ジャスティス・リーグ」の劇場公開版のことでした。同作でも、本作ほどの人数では無いにしても、初出のキャラクターを3人も登場させ、その紹介を行いつつストーリーを進めていましたが、如何せん時間不足・説明不足で中途半端な仕上がりだったのは周知のところかと…。
本作にもその危惧がありましたが、単なる杞憂でした。上映時間が豊富だったことも一因だとは思いますが、それだけではなく…。それぞれのキャラを端的に把握させるために、そのはじまりから繊細な人物描写を的確なタイミングで丁寧に且つ全体のテンポを崩さないように積み重ね、叙事詩的なスケールの中で彼らの姿を浮かび上がらせていく手法に感心しました。
ヒーロー集合作品となるとどうしても個々に見せ場を与えねばならず、バランス感覚が重要になって来ますが、さすがはMCUを成功に導いたマーベル・スタジオなだけあって匙加減はお手のもの。エターナルズが主役なれど、中でもセルシとイカリスの関係性を軸にして、そこから一切ブレなかったことが功を奏していたのではないかな、と…。それによってストーリー全体がスマートにまとまっていたように思いました。
"エターナルズ対ディヴィアンツ"と云う単純な対立構造だと思わせておいて、セレスティアルズの思惑が明かされてから、エターナルズの立場が180度転換してしまうストーリーの捻り方に唸らされました。真実を知った彼らの葛藤がドラマに深みをもたらして、怒涛のクライマックスへ突き進んでいく過程にハラハラ・ドキドキさせられました。
ヒーロー映画に新たな可能性を提示したと云う点で、本作は歴史に残る作品になったのではないかなと思いました。
ジャンルに新風を吹き込み、MCUの世界観自体にもさらなる拡大をもたらした本作―。今後どのように展開していくことになるのか、めちゃくちゃ気になる!