「過ちと創造の物語」エターナルズ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
過ちと創造の物語
前夜祭にて鑑賞。前夜祭記念にもらえたミリクリアファイル・下敷き・ピンバッジととても豪華でした。
今作の監督クロエ・ジャオ監督。春に公開された「ノマドランド」。その映像の美しさは見事だなと思ったのですが、いかんせんストーリーにのめり込むことができず、可もなく不可もなくという感じでした。そして本作、エンドゲーム後の世界を描くということで、完全新作というのもありノイズなく観れるなと思い、期待半分不安半分での鑑賞。
結果は大きく予想を裏切られる作品でした。156分あるとは思えないくらいあっという間で、飽きる事なく隙のない物語を堪能することができました。
まずエターナルズのメンバーの特徴が冒頭で大体わかります。セルシは石などの物質を砂などに変換する能力、イカリスは予告編でもインパクトのあった目からビームの人、キンゴは幽☆遊☆白書の霊丸(クロエ・ジャオ監督がお気に入りの作品で、取り込んだらしい)をぶっ放す人、スプライトは人や建物や風景を違うものに見せる能力、ファストスはとにかく凄い発明家、マッカリはめちゃくちゃ速い人、ドルイグは人を操る能力持ち、ギルガメッシュはグーパン最強、エイジャックはリーダー(あまり分からなかった)、セナは武器を生成して戦う戦士、と冒頭でこの物量の映像が襲ってきます。マーベルのロゴが出る前にテンションぶち上がりの最高のスタートでした。
今作の魅力①アクション
アクションが美しいのにド派手なんです。ギルガメッシュの真っ向からのグーパンはカッコ良すぎますし、マッカリの韋駄天は音と共に攻撃が伝わってきてますし、セナの様々な武器を駆使して盾と矛を駆使してとにかく最高です。ファストスの開発した特殊な遠距射撃や捕獲武器も映像的に映えますし、イカリスの目からビームでディヴィアンツというクリーチャーを溶かしていくのも残酷ですが面白いですし、やっぱりキンゴの霊丸は日本人として嬉しいです。序盤・中盤・終盤とテンポの良いアクションを程よく配置しているのも見事だなと思いました。
今作の魅力②歴史を辿る物語
エターナルズは紀元前から存在するヒーローチームで、それぞれの時代の戦争の近くにいたというのも斬新です。特に広島原爆の際にも携わっており、ファストスが人間に文明を与えた事によって原爆が生まれ、多数の死者が出てしまった事に対して後悔してしまうというのも妙に現実味があって良かったです。戦争を止める事に貪欲なドルイグの考えも分かりますし、エイジャックの人間同士の戦争に関わらないというのも分かります。それぞれの考えがぶつかり合い、解散していく流れもチームとしての宿命だなと思いました。
今作の魅力③マ・ドンソク(ドン・リー)萌え映画
新感染以降大好きになって、マ・ドンソクの出演作は殆ど観ているのですが、監督さすが〜!と言いたくなるくらい魅力的なキャラクターに仕上がっていました。まず戦闘シーンは力強くてカッコいいが全面的に押し出されていますし、合間合間のシーンでお茶目な挙動を見せるのもまた良い。ばっちりエプロンを着て料理を振る舞っているのも「スタートアップ!」を思い出す愛らしさがありますし、スプライトの幻影によって赤ん坊のコスチュームになってしまうのでもうキャー!です。ギルガメッシュ単独のコメディ作品見てみたいなーと思わせるくらい大好きなキャラクターです。
今作の魅力④説教くさくない多様性
今作ファストスはLGBTのゲイの側面を持っており、旦那と息子がいる設定になっております。普通の作品であればここを強調してしまうケースが多いのですが、至って自然に描き、家族愛も程よい描き方なのも好感を持てます。マッカリは手話で話すのですが、メンバーも手話を理解しており、共存とはこういうものだというのも分かりやすくてとても良かったです。
と、とにかく良いところを挙げたらキリがないくらい楽しく面白いアクション大作でした。クロエ・ジャオ監督の動と静の付け方も見事ですし、物語が終わりへ向かうための緩急の付け方も素晴らしかったです。今後どのようにユニバースに加わってくるのか楽しみです。DUNEの宣伝文を借りるなら「最高のシネマ・エクスペリエンス」です。エンドクレジット後もまた新たなその後を描く気満々です。とりあえずMCUとはまだまだ長い付き合いになりそうです。よろしくお願いします。
"エターナルズは戻ってくる"
鑑賞日 11/4(前夜祭にて)
鑑賞時間 18:30〜21:10
座席 O-16