「今までのMARVEL映画で一番面白いかも。水、龍、竹、九尾の狐、獅子、桃源郷、精霊流し…私もアジア人だわ。USAのフィルターを通したアジアではあるけど、バナナんな現代の日本人も所詮そうでしょう?」シャン・チー テン・リングスの伝説 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
今までのMARVEL映画で一番面白いかも。水、龍、竹、九尾の狐、獅子、桃源郷、精霊流し…私もアジア人だわ。USAのフィルターを通したアジアではあるけど、バナナんな現代の日本人も所詮そうでしょう?
①1000年に亘って世界を脅かしてきた犯罪組織のボスが中国人だった、と来ては習近平の共産党が中国での公開を渋るのも分かるわ。でも、それで観れない中国の人は可哀想(まあ海賊版とか裏ネットとかで観るんでしょうけど)。こんなに面白いのに。台詞の約半分は中国語(普通话)だというのに。ディズニーとしては世界最大の映画市場である中国マーケットから収益を上げられないのは予想外の痛手だろうけど。②どんどん収拾がつかなくなってきているMCUユニバースだが、こういうストレートな話が風穴を開けてくれてちょっと見直した。『エターナルズ』もそうだと良いんだが。③クライマックスは怪獣映画みたいになってサービスもたっぷり。ちょっと『怪竜大決戦』(1966)を思い起こさせてくれた。最後『Hotel California』で締めてくれたのも70年代中期~80年代中期青春世代としては大変嬉しい。④中井貴一をちょっとモッサリさせたみたいな主演のシム・リムはイケメンでないのが却って良い。存在感もあるし、ガタイが良いのも生まれが哈尔滨と知って納得。中国は東北人の方が体格が良いのだ。⑤オークワフィナはどんな映画でも光るその個性と存在感が魅力。アジア系俳優の枠に納まらずもっと活躍してほしい逸材だ。⑥ミッシェル・ヨーは、『クレイジー・リッチ』の時よりも更に老けたが、その存在感は健在で出てきただけで画面が締まる。凛とした中国女性の佇まいと優しさとを同時に醸し出す個性は貴重。⑦トニー・レオンが、1000年に亘って世界的な犯罪組織を牛耳ってきたボスとしては線が細いのが本作での弱点と言えば弱点か。⑧脚本もそうだが、最後までペースを落とさない演出が宜しい。途中ところどころで挿入される過去のエピソードシーンも映画の流れを邪魔していない。祖先から現在の世代、そして未来の子孫へと続く家族の思想も我々アジア人には馴染み深い。⑨いかにも白人主導だったMCUの世界が今後もっと多様性(diversity)をもって展開してくれるのなら今後に期待して良いかな。勿論、娯楽映画は良くできていて面白く楽しませてくれるのが最優先だけどね。