「カンフー×伝奇ファンタジー(中国)と、VFX×アクション(ハリウッド)の融合(出会い)=ニューヒーロー誕生!(平等を訴える)」シャン・チー テン・リングスの伝説 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
カンフー×伝奇ファンタジー(中国)と、VFX×アクション(ハリウッド)の融合(出会い)=ニューヒーロー誕生!(平等を訴える)
MCUフェイズ4の幕開けは『ブラック・ウィドウ』であったが、本作こそそれに相応しい気がした。
ニューヒーローにしてMCU初のアジア系ヒーロー。その名は、
ショーン!
…じゃなくて、
シャン・チー!
原作コミックでも『燃えよドラゴン』などカンフーブームの渦中に誕生したヒーロー。
鋼鉄のスーツも盾も持っていない。神の力や怒れる巨人にも変身出来ない。魔術や蜘蛛の糸も出せない。
武器は、己の拳。
しかし、最強。
それ故闘う事を禁じ…。
サンフランシスコのホテルで駐車場係として働くショーン。
そんな彼に突然、魔の手が襲い来る。
謎の犯罪組織“テン・リングス”。
率いるは、父ウェンウー。
組織名の由来である計り知れない力を秘めた伝説の腕輪“テン・リングス”を所持し、数世紀に渡って人類の歴史や暗殺事件に関与してきた。
後継者になるべく、父から暗殺武術を幼い頃から身に付けられたショーン。
その運命と力から逃れた筈だったが…。
MCUニューヒーロー初陣は、誰でもすんなり見れるのが魅力。本作も然り。
アイアンマンやソーやストレンジは傲慢タイプ、アントマンやスパイダーマンや本作シャン・チーは冴えない/平凡タイプ。
背負ってるもの、逃げてるもの。
彼らがそれらと対し、真に自分自身と向き合い、覚醒する。
MCUヒーローは誰も特別ではない。
悩みながら成長していく。
何処か我々と通じる所がある。
そんな姿を体現。大抜擢。
新星=シム・リウ現る!
親しみ易そうな人柄もさることながら、(本当は後ほど触れたいのだが)キレッキレのアクション!
ブルース・リー、ジャッキー・チェン、ジェット・リー、ドニー・イェン…偉大なカンフースターの跡を継げ。
シャン・チーの妹シャーリン役のメンガー・チャンも特筆すべき新星。引けを取らないアクションと、クールビューティーさを披露。
オークワフィナはさすがのコメディエンヌぶり。シム・リウと絶妙な掛け合い。
ミシェル・ヨーは導く伯母。アジアン・アクション女優としての見せ場は勿論、教えや武術の型に作品が締まる。
オークワフィナやヨーらすでにハリウッド進出を果たしているアジア・スターの出演。でも個人的に、この人の出演が嬉しい。
トニー・レオン。
日本も含むアジア圏で人気を誇る名優が、遂にハリウッド参戦。
ハリウッド・エンタメ大作でも存在感や名演を遺憾なく発揮。
物語上は敵役。脅威。
主人公の父。時折、父性愛に満ちた眼差し。
ある哀しみに固執し、対さねばならない父と息子。何だかうっすら、『エヴァンゲリオン』の碇ゲンドウを彷彿した。
秀でたアクションも披露し、カッコいい。
まさしく、オール・マイティー。
ハリウッドよ、これがトニー・レオンだ。
って言うか、ジャッキーやリーはとっくにハリウッド・デビューしてるのに、遅すぎるぞ、ハリウッド!
カンフー主体のアクション。
そこに、VFXをミックス。
走るバス車内での襲撃、マカオでシャーリンで経営するアブナイ地下格闘グラブ、高所ビル・アクション…。やはりこれらは目を見張る!
舞台は移り変わり、伝説の地へ。ファンタジーとスペクタクルを増していく。
しかし中心にあるのは、父と息子の闘い。
そして、その間にいる亡き母。
本作は、ある家族の物語でもある。
これまでのMCU作品にも幾度か登場してきた“テン・リングス”。
『アイアンマン3』でのアノ人が、同役で出演。台詞上やワンシーンだけかと思ったら、中盤からちゃっかり“ご乗車”。笑い所をかっさらっていく。
ヒーローたちも何人か登場。
いつもながらのリンクネタも楽しいが、個人的に良かったのが、
カンフーに武術の型、修行、古の伝説に伝奇ファンタジー、そして龍…。
このアジアン・テイストが同じアジア人として、いい。あの竹林さえも魅了される。
ラストはさながら、怪獣映画。日本を意識してくれた…?
日本と言えば、某漫画の必殺技名が飛び出すとは!
ヒーローアクション、アジアン・ファンタジー、家族物語、成長/目醒目のドラマ…。
インディーズ作品や社会派作品を手掛けてきた注目株、デスティン・ダニエル・クレットン。
様々な要素をそつなく、初ジャンル挑戦という畑違いを手際よく耕した。
新たな扉が開いた。
昨日までの生活にもう戻れないかもしれない。
選ぶのは、自分次第。
でも今は歌っとこう! ラストもユニーク。
『ザ・スーサイド・スクワッド』のようなエッジの効いた面白さではないけれど、いつもながらの安心安定さすがの面白さのMCU。
『ブラック・ウィドウ』を待望していたけど、こちらの方が面白かった!
それを存分に魅せてくれたニューヒーローの伝説が、これから始まる…!
すでに多くのレビューが寄せられているが、気になった事が。
今回、やたらとアンチ意見が目立つ。
作品の良し悪しならまだしも、そうではなく、悪質な蔑むようなもの。
主人公がブサイクだの、ヒロインがブスだの、
別サイトでは、祝!まーべるチャイナ化!(笑)だの、
何なの、コイツら…?
もはや人種差別に等しい。
性別や人種の平等、差別の撤廃を訴えているのもMCU。
MCU作品を見ていながら、こんな事を言う輩がいるとは…。
興味が無いんなら最初から見なければいいし、茶化すような話のネタにもしなければいい。
って言うか、見るな!!
あんまりひねくれてると、困ってる時にヒーローが助けに来てくれないよ。