劇場公開日 2021年9月3日

「アジア版ブラックパンサーなるか!それとも?」シャン・チー テン・リングスの伝説 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アジア版ブラックパンサーなるか!それとも?

2021年9月5日
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このヒーロー誕生描くオリジン作品は、本格アクションと共に、益々ブランド化の進むMCUをハリポタばりのスペクタクルに押し上げる!in ショーンとシャンチーの神隠し村で。
大好きオークワフィナのもはや安定感すら漂う流石の存在感と魅力!彼女がいるだけで画がパッと明るくなっておもしろくなる。おかげで主人公との掛け合いなどバディ映画的側面も堪能できる。また、袖まくりトニー・レオンの色気、格好良さ。演じるマンダリンのシンプル故に強固な行動原理に深み・奥行きを与え、魅力的な悪役にしている。長年鍛え上げられてきた百戦錬磨演技派としての有無を言わせぬ存在感に息を呑む。両腕に着けたテン・リングスの似合いっぷり。MCU他作品からのお助けキャラ的出演(?『アントマン』で言うとファルコン)もベネディクト・ウォンとアジア人。
新作が見逃せない好きな監督デスティン・ダニエル・クレットン。実際に見てみると、彼がアジア人で固めるためだけに起用されたわけではないことがよく分かる。お得意の伏線・差異を伴う反復が最後の最後まで気持ちいい。正直、『ショート・ターム』『黒い司法』と彼のフィルモグラフィーが好きな者として、今でも本シリーズに携わっている間に生まれるはずだった他作品のことを考えると、才能と年月の一種"損失"を思わずにはいられない。それでも、今後製作されるであろう2作品もこれくらい面白かったら、まだいいかなと。
MCUファンだけでなくカンフー好きなんかにもちゃんとオススメできる!回想のたびに時間の前後する語り口や、時にややセリフで語りすぎかもと思う瞬間も、最終的には取るに足らないどうでもいいことに思えてくるくらいのおもしろさ!感情が10個の輪のようにしっかり繋がってくる。見る前は、それまで他作品で見たことのないスタントマンのシム・リウが主演だからか地味な印象が拭えず、自分の中でそこまで高まっていなかった時もあった。それでも監督とオークワフィナという大好きな人たち!! …に敵役トニー・レオン、おまけにミシェル・ヨーも出るという点から気にはなっていた。そんなこんなで、ここ1週間くらいで徐々に高まってきていた本作。想像以上だったかも。マーベル × アジア発アクション = という組み合わせが、MCUに求めていたものに今まで無くて、想像できなかったということもあるかもしれない。けれども、蓋を開けてみたら本場香港などアジア発アクション映画が好きな層にも訴えかけられそうな特盛さに大満足!

勝手に関連作『ホビット/竜に奪われた王国』『ヒックとドラゴン2』『ボーン・アイデンティティー』『ブラックパンサー』『マイティ・ソー/バトルロイヤル RAGNAROK』『ラーヤと龍の王国』

とぽとぽ