「クルエラ」クルエラ matyakoさんの映画レビュー(感想・評価)
クルエラ
ヴィランズのキャラクターの中で最も残酷で冷酷なイメージの強い悪役『クルエラ』。
そんな反社会的で極悪非道なことをするクルエラを受け入れらない自分がいたが、ストーリーが進んでいくうちにクルエラの人となりを知り特別な感情を抱くまでになった。
映画を最後まで観終わった頃には不思議とクルエラファンになっていた。
「なぜクルエラは反社会的な行動をとるようになったのか?」「きっかけはなんだったのか?」その全貌がこの映画を観れば分かります。
一番自分の中で印象に残ったクルエラの言葉がある。「悲しみには5段階がある。
そしてもう1つ付け加えるとすればそれは…"復讐"」
自分には復讐心を抱く人の気持ちが理解出来ず、生涯無縁のことであってはならない感情の一つだと思い込んでいた。
でもそれは今まで自分の人生の中で失うものが少なかったからであって、「もし自分の大切な人が人の悪意による行為で傷つけられ、失うことになってしまったら…自分も同じように復讐心が芽生えてしまうかもしれない」とクルエラの立場になって考えて思った。
どんなに心の優しい人でも復讐心は抱くもの。話が一旦逸れるが、鬼滅の主人公炭治郎もそのうちの一人である。
人は失うものが大きければ大きいほど、強いダメージを受け心が崩壊寸前の状態になる。
そこからその感情をどこに向けるのかが分かれ道で…
その悲しみを復讐心に変え生きる活力にして這い上がる人間と絶望に耐えられず諦めて死を選択してしまう人間がこの世には少なからず存在する。そのことを深く考えさせられた作品だった。クルエラは天才肌でもあるが努力家で野心のある人間だったことにより、絶望にも耐え置かれた環境で生きる術を身に付け、強いエネルギーを持って這い上がることが出来たのだと分析する。
この作品の面白いと感じたところは、復讐心を持つ前の姿の『エルエラ』ともう1つの彼女の仮面である『クルエラ』という人物を適材適所に合わせて姿を変え、一人で二役演じてる場面。
簡単にいうと誰しもが持つ建前と本心の二面性。自分の心の中に存在する二人の人物を上手く切り替えながら演じてる部分に着目して欲しい。
全体的に負の感情の多いストーリーだが、笑えるシーンもいくつかあり、心動かされる映画だった。エマ・ワトソンのクルエラファッションにも目が離せない。体のラインの出る綺麗なシルエットのドレスをどれも美しく素敵に着こなしている。それとストーリー中に流れる曲にも着目して欲しい。特にクルエラショーの時に流れる曲。
人間味のあるクルエラのヒューマンドラマ映画。観て良かったと思える作品です。きっとこの映画を観ればあなたもクルエラファンになるかもしれません。感情移入して涙してしまうシーンもあるのでハンカチを用意して観に行って下さい。