「Hey now!」クルエラ ONAKAMAさんの映画レビュー(感想・評価)
Hey now!
原作「101匹のわんちゃん」は小さい頃に見たようなくらいのうっすらとした記憶です。そのためクルエラという悪役は全く知りませんでした。
しかしダーククイーン前日譚として最高の出来だったと思います。序盤から畳み掛ける認められない自分、親の死、孤独と畳み掛ける絶望。そんな中で出会った泥棒を生業とする悪ガキ2人と共に泥棒をすることで人生は一変します。ここまでの流れがとてもスピーディーながら、物語を分かりやすく飲み込めて、残酷ながらもとても楽しい映像だらけでした。子役の子も愛らしくてとても良かったです。
白黒の髪を黒に染め上げて窓を見た瞬間に一気に大人になるシーンも中々のインパクトでした。飄々と盗みをするシーンも鮮やかで全く抵抗感がなく、3人衆がとても見ていて楽しいです。その中で変装のための服を作るという夢に近しいものを得ています。
そんな中巡ってきた有名デパートで働くチャンスですが、基本的に清掃しかさせられず、自分の才能を活かすことができませんでした。妙にリアルです。しかし、酔いの勢いで新聞紙で作ったドレスがバロネスに評価されます。ここまで転落から転機がうまく描かれていてとても良かったです。
バロネスは超パワハラ上司ですが、エステラからクルエラに化けた状態で、どんどんとバロネスを追い込んでいきます。そのシーン毎のクルエラの衣装や登場の仕方がひたすらにかっこよくて惚れてしまいました。
バロネスは一貫して同情することのできないしっかりとした悪役として立ち振る舞ってくれるおかげで、クルエラに全感情を乗せて同情できます。そのおかげでクルエラが死にかけても助けてくれるという希望を見出すことができました。
一回はどん底に落ちたクルエラですが、なんとか仲間との信頼を取り戻してバロネスへの復讐を誓います。育ての母親が死んだ時と同じ会場で。この時にクルエラが先手を打って、髪型をクルエラと同じ色にしたカツラを客に事前に配っていました。そのおかげでスタッフが普通の客に思いっきりタックルをしているのが笑えました。
見事に復讐を果たしたクルエラですが、エステラに戻った彼女はバロネスに崖から突き落とされてしまいます。まぁパラシュートで無事というチャンチャンみたいな感じで助かります。良かった良かった。
全体的に130分超えとは思えないくらいあっという間に時間が過ぎてしまう名作でした。今までで一番好きなヴィランの誕生譚でした。
鑑賞日 6/3
鑑賞時間 14:45〜17:10
座席 A-3