「クルエラ誕生のヒューマン・ドラマ」クルエラ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
クルエラ誕生のヒューマン・ドラマ
ディズニー映画の中には悪役をテーマにした作品も珍しくないが、魔法もファンタジーも無く、一人の人間を半生を追った作品は珍しい。子供にとっては、退屈と思われ、むしろ大人のためのダーク・ヒューマン・ドラマ仕立てとなっている。また、最後は、クルエラ出生の秘密を巡っての、ミステリーの様相を呈するのも、なかなか憎い展開だ。
これまで『101』で悪役としてしか見てこなかったクルエラ。この映画で、そのイメージは大きく変わったとも言える。貧しい生活の中で、母親の死から始まり、盗人ギャングの仲間として、幼少期を過ごした少女エステラ(クルエラ)。
ようやく掴んだ洋服デザイナーの夢も、下働きからのいばらの道。その中で、天才的な閃きと才能が、冷酷だが憧れのトップデザイナー・バロネスの目に留まり、エステラの運命が大きく変わっていく。バロネスの下で、トップデザイナーを目指していたエステラが、どうして狂気のクルエラへと変貌を遂げていったのか…その謎が、母の死と繋がって解き明かされていく。
また、『101』でクルエラのドジな相棒となるジャスパーとホーレスとの幼き頃からの腐れ縁…、クルエラ・デビルのあの車…、『101』のロジャーとポンゴ、そしてアニータとパーディタ…、等を繋げるあたりは、なかなかお洒落に、ストーリーとしてまとめてある。
クルエラ役のエマ・ストーンは、次第に敵の懐に入って、バロネスを破滅に導いていく悪女へと変貌するその様相は、『ラ・ラ・ランド』とは全く違った、幅広い演技のできる女優へと成長しており、これからの期待も大きい。
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