「最新機能満載の“マイ・ベストフレンド・フォーエバー”だけど、それでもネコ型ロボットには敵わない…!?」ロン 僕のポンコツ・ボット 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
最新機能満載の“マイ・ベストフレンド・フォーエバー”だけど、それでもネコ型ロボットには敵わない…!?
冴えない男の子と欠陥ロボットの友情と言うと、日本ではお馴染み“ネコ型ロボット”。
見た目はディズニーの“ケアロボット”みたい。より軽量化し、機能も豊富になった“ver.2”?
キャラ人気しそうな可愛らしさで、作品も楽しそうでハートフル&感動。
こりゃヒットするなと思っていたら、昨年の公開時、日米共にさほど話題にならなくてびっくり!
実際見てみたら、うん、まあ、確かにね。
悪くはない。ツボを抑えた王道好編。
“Bボット”の機能が確かにスゴい!
SNS、写真や動画撮影、電話、ゲームだけならスマホと同じ。それらに加え、乗り物にもなれるし、SNSを通じて所有者に合う友達まで探してくれる。
我々が持っているスマホが“パートナーロボット”になったような。一家に一台なんかじゃなく、一人に一台。
誰もが“僕/私のBボット”を持っていて、一日24時間片時も手離せない。持ってて当たり前。持ってないなんて、ヘン。
孤独な少年バーニーはBボットを持っていない。それどころか、友達も居ない。
不憫に思った祖母と父親から、遂にプレゼント。ヤッター!!
ところが…、
このBボット、何かヘン。…いや、スゴくヘン。オンラインにも接続出来ず、何もかもとんちんかんな言動。
最新のテクノロジー満載のロボットじゃなかったの…??
それもその筈。欠陥品。それを祖母と父親が…って、“裏入手”!
友達を探してくれる筈なのに、こっちが“友達”について教えるハメに。
そんな一人と一体の“友達探し”。
見つけた友達は…、言うまでもない。
システムもプログラムも安全セキュリティもナシ。まるで“嵐を呼ぶ5歳児”並みの破天荒さに、振り回されててんてこ舞い。
だけど、いじめっこをぎゃふんとやっつけてくれた。(本来、Bボットにはこんな機能は無いけど)
確かに欠陥品かもしれないけど、他のBボットとは違う。
ダメダメで違うんじゃなくて、このBボットだけの違い=“個性”。
一緒にいて、楽しい。
僕だけのBボット。“ロン”と名付ける。
初めての友達。
世間や周囲からのけ者にされている者同士の交流は、誰もが共感。
主人の男の子はクラスのマドンナ的な女の子に想いを寄せていて…この手の作品にありがちな設定の初恋要素はナシ。あくまで、バーニーとロンの友情に焦点を絞ったのは潔い。
バーニーの周囲の子供たちは、“Bボット依存”。リアル社会のスマホ依存や投稿の“イイね!”、SNS上で有名目立ちたがりなどを、チクッと皮肉。
依存し過ぎはお騒がせトラブルにもなり、Bボット暴走による学校大騒ぎは、警鐘でもある。
Bボット開発のバブル社。青年CEOのマークは純粋に自身が子供の頃望んだ“友達ロボット”としてBボットを開発したが、COOのアンドリューは会社の名声や金儲け主義。CEOの座も狙っている。
欠陥品のロンを廃棄しようとする。子供とロボットの友情の敵は、自己欲の強い大人。
“友達”はいつ何時も仲良しって訳じゃない。喧嘩もする。でも、仲直り。
時には危機を救ってくれる“ヒーロー”。
そして最後は…。Bボットがより良いものになる為に。欠陥ロボットが“真のヒーロー”になった瞬間。
最初は僕が教えてけど、僕の方が教わった。
冒険、成長、友情…。
生身の友達も出来た。ちゃんと“Bボット”として、友達も見つけてくれた。
欠陥品なんかじゃない。ロンは最高のBボット…友達ロボット。
マイ・ベストフレンド・フォーエバー。
『ドラえもん』『ベイマックス』のみならず、『E.T.』も彷彿させ、イイ所取り。
警鐘やメッセージ、純粋素直な物語。
…であり過ぎる故、“教科書通り”の印象も否めない。
作風や展開、笑いや感動のポイントも想定内。
“ニューアップデート”は無かった。
こんな事言ったら元も子もないし、レビュー全否定かもしれないけど、実はあまりBボットに魅力を感じなかった。
何だろう…。ユニークなのはユニークなんだけど、ベイマックスのような魅力には遠く及ばず。
話もキャラももうちょっと捻りや工夫があったら…。惜しい。
それに、時々お説教や小言うるさいけど、一緒に泣いて笑ってメチャクチャ人間臭くて、やっぱり友達ロボット…いや、“友達”として居て欲しいのは、子供の頃からずっと見ているあのネコ型ロボット。“彼”には敵わないよ。