「作家性が際立つオムニバス」昨日より赤く明日より青く CINEMA FIGHTERS project tsubeさんの映画レビュー(感想・評価)
作家性が際立つオムニバス
過去のシネマファイターズ同様に、歌の世界観をもとにショートフィルムを撮るという企画。歌がベースにあるとはいえ、それをどう映画に反映させるかは監督それぞれにかなり任されてるのかな?
歌詞から素直に立ち上がっているストーリーから、かなり自由に膨らませている作品まで作風は様々で、監督の個性が出ていたと思います。
印象的だったのがCOYOTE。コロナ禍が始まった直後のことが描かれて、当時の記憶が揺さぶり起こされるような感覚がありました。あの病がきっかけになって引き起こされる分断の描かれ方も生々しかったです。
真利子哲也監督は一貫して暴力のさまざまな様相に興味があるのでしょうか? コヨーテというタイトル、後半の主人公が見せる変化に、監督の過去作「ディストラクション・ベイビーズ」で菅田将暉が演じた少年(個人では決して強くないくせに暴力に身を投じていく)の姿を思い出しました。そして、それを演じるのが王子様敵パブリックイメージを背負った片寄涼太というのがまた味わい深い。
その他の作品もよかったですよ。主演を務めるGENERATIONSのファンの多くが見たいのは、ひょっとしたらこういう彼らの姿ではないかもしれないけれど、それでもこういう映画にLDHがまじめに取り組んでいるのが興味深いです。
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