劇場公開日 2021年2月26日

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「なるほど、そっちいきましたか…」スカイライン 逆襲 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0なるほど、そっちいきましたか…

2022年1月25日
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鑑賞方法:VOD

WOWOWオンデマンドにて。

いよいよ救世主の登場を得た地球がエイリアンに反撃する大戦争が描かれる…のかと思ったら、そこは片目の爺さんを語り部にして一気に説明しちゃうんだから驚く。救世主ローズの逆襲大戦争は描かれず、戦後が舞台なのだ。
ローズはその大戦で味方を犠牲にしたことで、表舞台から身を隠している。
地球は一旦エイリアンを一掃していて、パイロットと呼ばれる地球人の脳を移植されたエイリアンの戦闘員ロボットは、洗脳を解かれて人間と共存している。だが、そのパイロットたちに感染症が蔓延し、感染したパイロットは再度人間たちを襲い始めていた。
なるほど、そっちいきましたか…と。

話がすっ飛ばされているので経緯は分からないが、地球人はエイリアンの宇宙船を奪って自分達の船にしている。操縦は洗脳を解かれた人間の脳を持つロボットが行っているようだ。(だからパイロットと呼ばれるのか…)
赤ん坊から幼い少女へ数日で急成長したローズが、更にグラマラスなお姉さまに成長して地球軍を牽引するだろうことは前作のエンディングで想像できた。輸血の効果でいい具合に成長が止まっているのは、まぁ許すとして、前作でエイリアンに抵抗できたラオスの局地戦から、どうなって全地球を奪還するに至ったかは知りたかったところ。

本作の本題は、パイロットたちが人間の脳を狩り始めるのを阻止するために、エイリアンが母船壊滅直前にワープさせたらしいコアドライブを奪いに行く戦いだ。
正直、私には全く理解不能だった。
前作を上回る説得力無視の理由付けが滔々と語られる。
とにかく、ローズと前作で脳をロボットに移植されてパイロットとなったトレントは、将軍の陰謀とは知らずコアドライブを入手するために敵の星へ向かうのだ。(敵の星なのかもよく分からないが)
パイロットのトレントは、敵と遭遇した時の偽装に赤い目を青く変える機能を実装されていて、これの効果が発揮される場面がないのが笑える。
敵の新種に襲われたり、ローズが敵によって洗脳し返されたりするコアドライブ奪取までの道程は面白い。
特殊能力が使えたり使えなかったりするローズと、将軍と大佐、エイリアン、青目になったり赤目に戻ったりするトレント…ひっちゃかめっちゃかの大混戦となる宇宙船内のクライマックスも面白いと言えば面白い。
で、やっぱりカンフーアクションが好きなのね、この監督。エンディングのいけてないNG集もジャッキー・チェンを模倣してるのだろう。

しかし、ここまでいい加減な話をよくも大がかりに作り上げたものだと感心する。
作り手たちは決してふざけず、真面目にこの作品に取り組んでいることは伝わった。
とはいえ、シノプシスの段階でチープさは気づけそうなもの。
邦題の「逆襲」も何なんだか…

2020年の東京国際映画祭は、コロナ禍で特別編成の開催となった。
本作は一般公開に先んじて2020年東京国際映画祭で特別招待作品として上映されたのだが、どんな基準で選んだのか、不思議だ。
夕張ファンタスティック映画祭ぢゃないんだから!

kazz