「映画がスクリーンを通して今と過去をつなぐ」サマーフィルムにのって 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)
映画がスクリーンを通して今と過去をつなぐ
映画作り、時代劇へのリスペクト、高校生の恋と友情、そしてSFといった要素を見事にシンクロさせ、映画愛に溢れた痛快で、爽快な青春映画が誕生した。主人公が時代劇オタクの女子高生という設定が秀逸なのだが、彼女が敬愛する勝新太郎演じる「座頭市」などの名シーンや当時のポスターなどが映し出されると、映画好きの心はくすぐられてしまう。
さらに本映画内(劇中)で彼女が名作へのリスペクトを込めて作る時代劇と対比して、彼女が所属する映画部のライバルらによってキラキラ恋愛映画も同時に作られていくという二重三重の映画内映画の構造、映画作りあるあるが散りばめられ面白い。時代劇作りに集まる仲間が“七人”というのも心憎い。
そして、本作を新時代の青春映画として輝かせているのは、主人公の女子高生ハダシを演じた伊藤万理華の魅力だ。元「乃木坂46」のアイドルで、卒業後は女優としてドラマ、映画、舞台に出演し、きらりと光る存在感を放ってきた。本作では、ハダシを演じるために猫背でがに股、白目まで披露して勝新を真似た殺陣にも挑戦するなど、小柄な彼女の独特な動きやセリフ回しが物語に不思議な説得力、躍動感を与え、役者としての新境地を切り開いている。
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