劇場公開日 2022年8月26日

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「この映画をもし劇場鑑賞してたなら、見た私が激怒。」激怒 レントさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0この映画をもし劇場鑑賞してたなら、見た私が激怒。

2024年2月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

寝られる

劇場鑑賞を見逃して、配信が今回無料になったので鑑賞。しかし鑑賞中はかなりの苦痛を強いられた。正直、一つ星をつけることはほとんどない。地雷を踏みたくないから見る作品はなるべく厳選していたからだ。ただ高橋ヨシキの作品ということで本作はいずれは見ないといけないと思っていた。

やりたいことはわかる、今の日本にまかり通るマスク警察、自粛警察などの同調圧力、監視社会、社会的弱者への不寛容、家父長制的保守思想等々を風刺した一種の寓話的物語をジャンル物としてやりたかったのだろう。ただ、それを描くには表現が甚だチープで想像力も貧困すぎではないか.。
映画ライター、デザイナーの高橋ヨシキ第一回監督作品。普段好き放題映画評論をしてるだけに、自分の映画がどのように評論されるか覚悟して臨んだものと思われる。だから正直に思ったことを書かせてもらう。

正直、デザイナーだけあってビジュアル的にアーティスティックなものを見せてくれるだろうと期待はしていた。

暴力的な主人公が矯正プログラムを受けるため渡米するシーン、星条旗の映像が主人公の顔に被る、これには正直ひっくり返った。まさにダサいのだ、彼が人の作品を評論する言葉通りダサい。昭和かよと思ってしまった。
そしてその矯正プログラムのシーン、正直なにをやってるのかわからない。ただ薬を与え、時間が過ぎ去ってるような描写のみ。ルドヴィコ療法のように映像的インパクトあるものもない。あれは別にお金はかからない。製作費が少ないからなどという言い訳は通用しないだろう。
そもそもストーリー的にアメリカに行く必然性はない。国内の矯正施設でもいいわけであって、逆にニューヨークの資料映像みたいなのを差し込んでより作品がチープな印象に。
あのおもちゃのような青い鳥は意図的にそうしたのか?ラストに町から煙が上がるVFXもひどい。

脚本も粗が目立つ、というかまともな部分の方が少ない。セリフもすべてがチープ。気にかけていた女の子のことを店のマスターと再会したときになぜすぐに聞かない、なぜ二度目で聞く?そもそも、隠れてた若者たちは反政府運動かなんかやってたのか、ただ見た目が不良っぽいから自警団に狙われてたのか?なぜ警察組織の人間が見る内部文書が黒塗り?探れば探るほど粗が出てくる。よくこの脚本で映画撮ろうなんて思ったな。
主人公の刑事と若者たちとの絆らしいものも一切描かれてないから、感情移入もできない。

これはほんとひどい。いくら素人とはいえ、高橋氏は冷たい熱帯魚で製作にかかわっているし、ただの素人ではない。それなりの作品を提供できると思っていた。しかし脚本はまるで中学生が描いたような稚拙なもの。演出も一切光るものはない。デビュー作品にはその監督のすべてが詰まっているとは映画評論家町山氏の言葉だが、これではっきりした。高橋氏には才能ないことが。おそらく次回作のオファーは来ないのでは。
正直言うと、どうせ口ばかりの批評家なんて大したもの作れないだろう、くさしてやろうと思ってバイアスがかかっていた。しかしここまでひどいとは思わなかった。これはどう贔屓目に見ても褒められるものが何もない。もし自分がこの程度の映画しか作れないなら監督は辞退するだろう。

脚本、演出、音楽と褒められるところが一つもない映画を見たのは久しぶりだった。
まごうことなき駄作。

レント