「わたしたちは塩素か?」この世界に残されて kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
わたしたちは塩素か?
3ヵ国語を使いこなすほど頭のいい少女クララ。しかし、学校ではそれが災いして落第する可能性もある。婦人科の医師アルドと知り合い、やがて父のような存在に変化して、最初は突き返そうとするアルドにも人と一緒じゃなければ生きていけないと感じるようになる。
ナチによるホロコーストや、戦後旧ソ連による鬱屈した様子はほとんど描かれないが、クララとアルドの表情や行間の意味を反芻することで心の痛みが伝わってくる。特に診察を受けていた頃のクララの目の下のクマ、アルドが次第に笑みを浮かべるようになっていく顔の変化が絶妙だった。また、おばさんのところに帰りなさいと言いつつも小さなベッドで寄り添う二人の光景が印象に残る。
「ひとりが怖いと娼婦なの?」などと、家族を失った少女の気持ち。16歳の少女と42歳の男なのだから男女の仲になってもおかしくない、そんな微妙な揺れもどこかにあったに違いない。抱擁、膝枕など、他人の目からはいかがわしく思われるのだ。そしてクララにとってはダンスパーティで知り合った青年ペペの存在、アルドにとっての美しい患者の存在も彼らの微妙な心に影響を与えていく・・・
彼らが塩素なら家族は水素。そして奪っていった者が酸素・・・そう思っていたけど、新たなパートナーが酸素だったのか?あっという間の3年後という結末はちょっと拍子抜けしてしまい、普通にそれぞれの新しい家族を築いていくことなんだろうけど、もう少しヤマ場があれば訴えてくるものがあったのになぁ。。
kozzyさん
コメントへの返信有難うございます。
心に響いた作品は、気になってレビューを開いて読みたくなります。
kozzyさんのレビューを読んで、幾つかのシーンが浮かんできました。
kozzyさん
医師アルドは彼女を見守って行く生き方を選び、若きクララは煌めく我が人生を歩んでいる、そう捉えています。
アビゲール・セーケの初々しい魅力に心を奪われてしまいました☺️