「【”世界は善意と嘘と少しの悪意で出来ている。”正義と誹謗中傷などの悪意、嘘、忖度に揺れる心を、瀧内公美が渾身の演技で魅せる。不可思議な人間の心の機微を炙り出した世界観にドップリと浸った作品でもある】」由宇子の天秤 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”世界は善意と嘘と少しの悪意で出来ている。”正義と誹謗中傷などの悪意、嘘、忖度に揺れる心を、瀧内公美が渾身の演技で魅せる。不可思議な人間の心の機微を炙り出した世界観にドップリと浸った作品でもある】
ー 今作の主人公を演じる、瀧内公美さん
・「日本で一番悪い奴ら」での淫蕩なシャブセックスをする婦人警官にビックリしつつ一発でやられ、
・「彼女の人生は間違いじゃない」での福島第一原発事故で、仕事を無くした父(保証金で食べている:光石研)と小さな家に住む福島県公務員と、週末東京でデリヘル嬢を掛け持ちしながら生きる姿にやられ、
・「火口のふたり」にビックリし(殆ど、全裸じゃん!)
・「裏アカ」・・・、は無かった事にして・・・。(スイマセン・・)
個人的には、潔く肌を出しながら、物凄い演技をする女優さんである、と思っている。
そして、4度目の驚きの作品を鑑賞した。ー
◆感想
・序盤は、ドキュメンタリー映画監督の由宇子(瀧内公美)が、女子高生自殺事件を追う展開に、”メディアの過剰な演出と、学校側の隠蔽体質を追う映画かな・・”と思いながら、観賞。
・だが、物語はこちらの予想を遥かに超える展開で、怒涛の如く進んでいく。
ー 女子高生自殺事件のドキュメンタリー作品では、正義の側に立つ由宇子が、父親(三石研)のまさかの行為に動揺し、ドキュメンタリー作品放映のために、それを隠蔽する側に回って行く様・・。
アイロニック且つ、人間の弱さ、狡さ、忖度する心を、瀧内公美さんが、ほぼ笑顔無き演技で魅せる。ー
・父親が経営する学習塾に通う、父と関係を持った女子高生に近づき、優しく勉強を見てあげたり、ご飯を作ってあげたり、お金の無い父親の代わりにガス代まで払って・・。
ー ここでの、彼女の行為は善意なのか、狡猾な行為なのか・・。彼女の心は、揺れている、揺れている・・。ー
・物語は、ドキュメンタリー製作と、父親が犯した行為を隠蔽しようとする由宇子の二つの顔を並行して描いている。
そして、ドキュメンタリー作品で描こうとしていた”学校の隠蔽体質を告発する”と言うテーマが根底から崩れ落ちる真実が、露わになり・・。
ー このシーンも、真実を知ったのは由宇子だけ、という絶妙の設定が効いている。そして、父が関係を持ったという女子高生の”ある噂”。
由宇子の心は、更に揺らぎ始める。
正義と悪意と、忖度と、懐疑心がせめぎ合う心の葛藤。ー
<ラストシーンは、物凄くシニカルだ。
真偽が不明なのに、父と関係を持った女子高生の一度は心が通じ合った父親に言ってしまった言葉。
ー 私は、このシーンは由宇子の正義の心が、悪意への誘惑に勝ったシーンだと思った。ー
そして、女子高生の父親から衝動的に首を絞められた後に、息を吹き返した由宇子のスマホに残された伝言。
”貴女のドキュメンタリー作品は・・”
153分という長尺さを全く感じさせない、見事なストーリーテリングと、瀧内公美さんや光石研さんを始めとする俳優陣の演技と共に、この作品が醸し出す、不可思議な人間の心情の機微を炙り出した世界観にドップリと浸った作品である。>
コメをありがとうございます。
世間の裁く権利って何なんでしょう。
自分は何も被害を被ってないのに発言の自由とばかりに…スマホの普及と比例して加速するばかりですね。
「空白」観てみたいです。
こんばんは。
「彼女の人生は間違いじゃない」は鑑賞しましたが、正直内容もあまり覚えていない位で、瀧内さんの印象も覚えてません(すみません!)。本作はめちゃくちゃ上手かったですけどね。今後の作品が楽しみです。
NOBUさん
コメントへの返信有難うございます。
上映館、驚く程に少ないですよね。。決意の上の鑑賞だったんですね。
発した言葉が一瞬にして関係性を変えてしまう怖さ、人間関係の不安定さがリアルでした。