劇場公開日 2021年9月17日

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「上映館拡大を切に願います(ユーロスペースさんの密解消のためにも)」由宇子の天秤 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0上映館拡大を切に願います(ユーロスペースさんの密解消のためにも)

2021年9月19日
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鑑賞方法:映画館

間違いなく今年度公開作の中でも指折りの傑作のひとつ。観賞後に考えさせられる余韻が最大級。

正義とは?という命題は、これまでもたくさん描かれてきたし、これからも描かれ続けるはずです。時代がどう変わろうが、永遠に答えの出ないテーマだからです。
戦争であれ、法廷であれ、企業であれ、学校であれ、震災のような災害の場であれ、〝その時、自分はどこの誰としてそこにいるのか〟によって正義と呼ぶべき大義や対象は様々です。
救うべき或いは守るべき相手は、国家なのか、帰属集団なのか、個人なのか、その個人は社会的影響力のある人物なのか(アメリカ映画なら大統領とかがそうです)、影響力はないが愛する家族やペットのひとり(一匹?)なのか。
そしてそれらの要素が複層的に重なった場合には、シンプルに正義か否か、という選択肢は消滅します。
何かひとつを選択すれば、それに見合う何かをひとつかふたつ或いはそれ以上に失うことになります。

その場合に判断しなければならないものは、〝優先順位〟であって、〝正義〟ではない、という状況になります。
それまでの由宇子は、冷徹に真実を客観的に伝えるという芯の通ったブレないプロ意識に裏付けされた信念がありました。
そして、それを貫くための唯一の条件が〝当事者ではない〟ことでした。

思わぬところから当事者そのものになってしまった由宇子には、当事者でない時には封印できた〝良心〟とか〝良心の呵責〟という人間性の真実の一面が重くのしかかってきます。
当事者でなければ、優先順位の判断基準は合理性(傷つく人が一番少ないと想定される選択を取る)で割り切れたはずなのに、当事者としての良心は、本人にとって失うものが最大化するような不合理な判断(実際に命まで危険に晒すことになった)をさせることになります。
一方で、打算的な動機を背景に始めたはずの小畑萌への個人レッスンからは暖かな絆が生まれたのも事実(万引き家族における樹木希林と松岡茉優との関係性にも似ています)。

少し書き過ぎました。
あとは一年に数本あるかないかの胸アツというよりは胸オモの作品を一人でも多くの方がじっくりと味わっていただくことを願っています。

グレシャムの法則
NOBUさんのコメント
2021年9月25日

今晩は。
 今作は、愛知県でも1館でしか、上映していなくって・・。
 けれど、満席ではなかったですが、一番大きいスクリーンの市松模様の7割くらいは埋まっていました。
 今後、公開館で増えるようですが、シネコンで掛けても集客出来ると思うのですが、無理かなあ・・。「MINAMATA」みたいにジョニー・デップ出てないしなあ・・。では。

NOBU