アイの歌声を聴かせてのレビュー・感想・評価
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日本アカデミー賞アニメ部門ノミネート?
「映画大好きポンポさん」がノミネートされなかった日本アカデミー賞アニメ部門にノミネートされていたのと、映画コムではまぁまぁ評判が良さそうだったので遅れて鑑賞
ですが、個人的にはそこまででしたね
松竹製作だったので、持ち回り忖度案件でノミネートされたと思いました
悪くはないですけど、「映画大好きポンポさん」には全然劣ります
おそらく原因はとにかく要素が多いんですね
AI特区にAIロボットに学園ものにミュージカルに田舎に青春に恋愛にクラスメイトに母の仕事も……
それを強引にでも一つのストーリーにまとめた力は監督にあるのかなと思いましたが、結局何が言いたい話なのか、テーマは何なのか、それが致命的に散漫で弱い話になっています
ラストに言いたいことは分かるんですけど、冒頭から中盤にかけてまでは過多な情報やキャラクターのせいでテーマが何か分からないので、こっちもどう楽しめばいいか分かりません
それで物語の魅力が失われてしまっていますね
クイズで言えば、そもそも問題を出してないのに解答の制限時間はどんどん減ってる状態ですね
答えを言われてから、こっちがそもそもの問題を推測してる感じ
できるだけ冒頭でテーマ(問題)を発表出来ていれば、こっちもその答えは何だろう?とずっと楽しみながら観ていけるんですよね
脚本は別の、もっと実力ある人に任せれば良かったような気もします
ただ、そうするとカット割りとかアングルもそんなに良くなかった気もするし、キャラクタービジュアルもそんなに魅力的でも無かったから、そもそもこの人が監督でなくても良かったような気もしてきます……
まぁ、アニメで言えば細田守も新海誠もそこまですごいわけではないから、この監督さんの名前は覚えておこうと思いました
ご都合青春ものとはいえ、好き
同監督作品のイブの時間のような感じがモノローグ映像からどことなく滲み溢れていると感じられ、SF的な進歩が映像や哲学に見られないのがちょっと肩透かし。
しかし青春者としてはなかなかエキサイティングな展開を見せていたと思う。
ツッコミどころ満載なとことかあるけど、それが興醒めというわけではなく物語はミュージカルに載せられグイグイと展開していく。これが心地良い。
常に瞳孔の開き気味のポンコツAIは画面だけ見るとホラー的な演出、動きさえ見せるが、声優の声色で中和できているバランス感覚もなんともお見事です。
面白かった/ワンダーが足りない
「イヴの時間」が好きなので観に行った。社会へのテクノロジーの適用の設定と見せ方が好みだった。青春ドラマとしてはきれいにまとまっていて、見せ場も多く楽しめた。歌もいい。ただちょっと物足りない感。……書きかけでうまくまとまらず放置していたが、「地球外少年少女」を観て思うところがあったので、AI絡みで整理してみた。大分時間がたったので記憶違いがあるかも。【両作品のネタバレ有り】
本作で幼少のトウマがたまごっち風AIに与えたプライム・ディレクティブ(PD)は「サトミを幸せにする」ことだった。その手段が歌であり、サトミが大好きな劇中の映画「ムーンプリンセス」から、歌うことや人間関係を学習したということは読み取れる。
一方、AIが消去される危険から自らをネットに逃がした後、シオンの身体を発見するまでのネット放浪時代、AIはサトミを見守り続け、時々音楽で介入したりしていたが、高校生シオン(自律型アンドロイド)となってからの言動を見る限り、特に一般常識を学んだりはしなかったようだ。(「地球外…」でも、AIの演算能力や情報入力にはリミッターがかけられていて、人間が解除するまで自ら進んでその制限を超えなかった。)
ここで気になるのは、AIの「意思」とは何かである。「イヴ…」では、AI(アンドロイド)に自由意思があることは所与であって、なぜなのかは明確な説明がなく、その発露を縛るルールとの葛藤や社会における受容がテーマだったと思う。
一方、本作ではAIはPDに忠実だが、自らの意思があるのかは分からなかった。PDを遂行するためのインプット・アウトプットのループはあっても、自分で自分の知の範囲を拡張しない、あるいはできない。そのため、サトミの幸せのために他の制御を乗っ取り、時に損害を与えることに躊躇せず、より合理的なやり方を導き出せない。(あれが自分の演算上の最適解なのだろう。)
ラスト、衛星経由でシオンの中身が再度ネットに放流されても、再びそこからサトミを見守るだけで、某少佐の「ネットは広大だわ……」みたいなエボリューションがあったようには描かれていない。
これは実社会へのAIの適用が進んだことによる、AIのあり方についてのより現実的な理解が反映しているのか、はたまた、そう(あくまで人間をサポートするもの)であってほしいという願望の表れなのか?
「イヴ…」ではエンドロールの切ない映像で、人間とAIの種としての共生の可能性のような論点が示唆されていた。「地球外…」ではリミッターを外されてルナティック(知能の爆発的拡大)したAIが、ひたすら知の探究に没頭して宇宙の存在の謎を解明してしまう描写があった。
SF的には、本作にもAIの進化とか、制御する者ーされる物の関係を越えた両者のあり方とか、何かしらのワンダーの提示がほしかった気はする。
時間が空いたので
正直、チラシやポスターの絵柄が苦手な部類のビジュアル。おじさんが見に行くには少々ハードルが高い気がしてた。ただ結構長いことやってるなあと気になっていて、時間が空いたし、関西最終週でもあり鑑賞。AIの少しズレた対応が巻き起こす笑いと、感動と予想しながら見たのだけれども、不覚にも思わずウルっと来てしまった。なるほど長く映画館にかかる理由はある訳ですね。
うーん
設定が無理あって乗れへんかった。
ファンタジーとして観るにしても、お母さんが男性優位の社会でがんばってるって題材としては大切やのにザル過ぎるし、失敗したら子供に当たり散らすの嫌やったな。
昭和のメカか?
期待に反して良い作品でした。
最先端のドールなのに、オーバーヒートすると、お腹から基板?が飛び出て来るところは、思わず「昭和のメカか?!」と言いたくなりましたね。^_^
ストーリーの破綻も無く、良く考えられていたと思います。
皆さんが気になっているミュージカルシーン?は、特に気になりませんでした。
キャラデで、好き嫌いが出そうですが、観て損は無い作品です。
観る価値アリの秀作
オリジナル作品でしたが、予告やタイトルとかにつられなく…。^^;
仕事柄観てみたら、あら!?
秀作に出会えました。
青春ラブコメ要素を含みつつ、AIへの期待と夢を携えた作品に仕上がってます。
少女型AIが「他人の心を歌う」ことで問題を解決していく、特異な設定のミュージカル×青春×SF。
ようやく観てきました。
大変良質な「青春+SF+ミュージカル」アニメであり、観に行った甲斐はあったかと。
もともと、「青春+SF」というのは、吉浦監督の追求してきたテーマであり、初期の代表作『イブの時間』もAIテーマだったと聞く。そこに「歌」を足したうえで、『時かけ』以来定型となっている「高校青春SFもの」のテイストを強めたのが本作、という感じか。
歌の部分に関しては、当方オジサンなもので、だいぶくすぐったい感じはあったけど、とてもよかったと思う。
最近も高校生が学校でいきなり歌い出す、ちょっとこそばゆいようなアニメ映画を観たっけと思って記憶をたぐってみたら、『心が叫びたがってるんだ。』でした(笑)。
あれも、キャラが歌い出したら最初は周りがおいおい大丈夫かと不審がる、「ミュージカルのお約束」に対する日本人の抵抗を和らげるための演出が成されてたな。
まあ最近は、『ラブライブ』や『マクロスF』でもみんな路上でいきなり歌い出すし、『竜とそばかすの姫』みたいな純正ミュージカルも出てきたし、アニメキャラが急に歌い出しても気にならない「耐性」は日本人のあいだでも大分ついてきていると思うけど。
ただ、今回のミュージカル要素に特異な要素があるとすれば、それはアイが「他人の心」を歌にして表現するという点だろう。
なぜなら通常、歌は常に「自分の心情」を歌うものだからだ。
『ここさけ』にしても、緘黙の少女のなかから「歌があふれ出してくる」という設定だったかと記憶する。歌は、本人の心がいっぱいになって、それがメロディに乗って流れ出してくるもの。
これは古くオペラの時代から続く「歌」の大原則だ。
ところが、この映画の「歌」はちがう。
アイは自分の心情を歌うのではない。
近くにいる人の心情を歌うのだ。
ちょうど、家庭用AIが、その場にあったBGMを選択するように。
天気や、ご主人様の気分や、その日のシチュに合わせて。
この「外付け」の歌は、まわりの人間に「気づき」の効果をもたらす。
鬱屈し、思い悩み、立ち止まっていた少年少女は、アイに自分の「内面」を歌ってもらうことで、それを確信し、一歩踏み出すことができる。
ミュージカルシーンの前と後で、人間関係や心の持ちようが劇的な変化を遂げるのだ。
喧嘩していたゴッちゃんとアヤは仲直りし、負け続きのサンダーは勝ち方を身につけ、トウマはずっと胸に秘めていた慕情を、サトミは悔恨の情を、それぞれ相手にさらけだす。
彼らは「アイに促されて/影響されて」歌い出すことはあるが、あくまでその端緒となるのは、アイの「他人の心情に添って歌う」歌唱である。
その意味で、本作の若者たちは、自ら七転八倒して傷つけあいながら真実に目覚めていく能動的な存在というよりは、「人(もっぱらサトミ)を幸せにしたいAIの力で」再び結び付けられていく受動的な存在ともいえる。
悪い言い方をすれば、かなり「甘やかされた」キャラクターたちだ。
でも、日本人なら、それをちっとも変に思わないはずだ。
なぜなら、日本人はみんな、『ドラえもん』を見て大きくなってきたからだ。
そう、これは岡田磨里風味に味付けされた、『ドラえもん』なのだ。
僕は途中から、そう思いながら観ていた。
このAIはポンコツだという触れ込みで、物語は始まる。
実際、コミュ障だし、考えていることも得体が知れない。
でも、このAIは、魔法のように「その場の人間関係のストレスを解消する歌を歌える」。
その点だけは、つねに間違わない。
人間にも見抜けない真の心を歌であぶり出す。
これは、SF設定としては、実は本来の設定と大きく齟齬のある「チート機能」だと思う。
会話すらままならないAIが、純粋であるがゆえに、人の隠した思いを見破り、それに見合った歌を紡ぐというのは、そう説明されればそうかなと反応するしかないけど、結局のところ究極のご都合主義だからだ。それに「サトミ」の幸せだけを考えているAIが、その「周辺の人物」から順番に救っていくというのは、ぎりぎりロジックが通っているようで、やはり無理筋の展開だろう。
とはいえ実際に観ると、本作のAI「アイ」は、そういう矛盾というかご都合的な部分を気にさせないところがある。その理由としてはやはり、「外見が少女だ」という要素が大きく影響しているのではないか(笑)。
AIに「直観」は高度すぎる概念だが、無垢な少女に『直観』は兼ね備わっているのが当たり前の絶対の力だ。『フルーツバスケット』の本田透しかり。『悪役令嬢』のカタリナしかり。ちょっと頭は弱くても、苦しんでいる人の何かを見抜いて救済する力が「少女」には間違いなくある。
ポンコツAIが人の心を読むことはありそうにないが、そのAIが少女の姿を獲得した時点で、複雑な男女のわだかまりや過去の因縁をも超越する「歌」を歌ってもおかしくないキャラに変貌する。
ちゃんと、監督やスタッフは、そこをわかったうえで、アイというキャラクターを創造し、あえてアイに「解決屋」としてのチート能力を付与しているのだ。
それに先にも述べたとおり、日本人は『ドラえもん』で、未来のロボットに頼って他力本願で物事を解決する手順に慣れ親しんでいる。「人の幸せを願う」AIが関係者の問題を解決してくれることを、奇妙に思わないように「道徳的に訓練されている」と言い換えてもいい。
だから、僕たちはアイの存在を変に思わない。
むしろ、自然な展開として享受できる。
これは、ある意味、幸せなことだ。
― ― ― ―
『アイの歌声を聴かせて』は、幸せな映画である。
出だしはみんな暗い過去や、現在進行形のわだかまりを抱えてスタートするが、映画が終わるころにはすべて解消される。
敵はわかりやすく悪いヤツらで、彼ら相手にレジスタンスを展開しても、あまり良心の呵責に苦しまないで済む。
アイはみんなに愛され、アイはみんなを愛し、アイの負に傾かないけなげな楽天主義は、周囲にも同じポジティブな影響を与えていく。
観客は、「アイの(ポンコツとしての)正体がバレるのではないか」というサスペンスには付き合わされるが、「アイが裏切る」とか「アイのせいで最悪の事態になる」といったマイナス要素は「あえて考えないで楽しく観る」ように作り手に巧みに誘導される。
これは裏を返せば、ちょっと怖い話でもある。
ここで描かれるAI「アイ」は、長くSFの世界で「危険視」され、「淘汰」されてきた「危ないAI」の「典型」ですらあるからだ。
アイは、人型ロボットにウイルスのように感染して、人格を乗っ取ることができる。
アイは、まわりのコンピュータにもハッキングし、自在に動かし、従わせられる。
アイは、自動育成されたスタンドアローンのAIで、人間の管理を受け付けない。
アイは、「サトミを幸せにする」という盲目的・妄信的な課題にいちずに邁進する。
アイは、その目的のためなら、非合法な行為であっても、全く臆することなく行う。
アイは、危機に陥ったら、人間型の義体を捨ててネットで生きていくことができる。
アイは、ラストにおいて●●に到達し、物理的攻撃を受け得ない存在に進化した。
いままで、多くのSF作品において、こういう状態に進化したAIは、「一歩間違えば人間を滅ぼしかねない存在」として、目の仇にされ、さまざまな形で葬られてきたはずだ。それこそ『メトロポリス』の昔から、『2001年宇宙の旅』のHAL、最近のアニメ『Vivy -Fluorite Eye's Song-』に至るまで、「人に尽くす」ことを目的に作られたAIは、必ず進化の過程で暴走し、人類に破滅をもたらす存在へとなり果てるものだった(そういや『Vivy -Fluorite Eye's Song-』も「歌でみんなを幸せにすること」を使命にもつAIだったな。本作とかなり被る目的意識でつくられたアニメだ) 。
ところが。
本作において、アイは「希望」の象徴だ。
この物語は、全力でアイを肯定し、アイに救われた若者たちもアイを肯定する。
そしておそらく、観客も全力で、アイと仲間たちを応援するだろう。
そして最後には、幸せなAIと人間の共存可能な未来が提示される。
それがまさに、吉浦監督の「描きたかったこと」だからだ。
でも、一瞬立ち止まって考えてみたい。
この映画で描かれたアイの特徴と機能と進化の結果に、ほんとうに脅威はないのか。
しょうじき本作のアイと、いままで駆逐されてきた「暴走したAI」に、そう大きな差はないのではないか。
アイは、ほんとうに人間に害を与えないのか?
サトミを幸せにするためなら、回りに悪い影響を与えても平気なのではないか?
これだけ驚異的なスペックを有する人工知能を●●に逃がしてほんとうによかったのか?
アイを捕獲しようとした星間エレクトロニクスのほうに、実は「理」があるのではないか?
僕は、吉浦監督がこの疑念に対してあまり明確な答えを用意せず、ポジティブに、楽天的に、「信じられるよ」「だってアイは良い子じゃないか」で済ませている感じがどうしてもして、ちょっと怖い。
アイが良い子に描かれていたから、アイに高校生たちがみんな救われたから、星間の社員が悪いヤツに描かれていたから、「アイは危険なAIではない」と断ずるのは、危機管理の思考としては最悪の部類に属すると僕は思う。
僕が本作に十分感動したし、楽しんだにも拘わらず、少し「もやっ」とした気持ちで劇場を出たのは、そういう思いもあってのことだ。
まあ何にせよ、アイの正体がわかった瞬間に、映画のアバンから何から、すべてのシーンがきれいに塗り替えられる『ユージュアル・サスペクツ』にも似た高揚感や、そのあと続く怒濤の(Keyゲー風)回想シーン、アイが「歌うAI」に進化した理由が最初から呈示されている点など、本作の作劇の巧妙さを指摘しだしたら、それこそ枚挙にいとまがない。
逆にいえば、今回は「本当は危険かもしれないAI」を、「まったく危険でないかのように描く」ことに成功し、観客全員をアイの味方につけてしまった吉浦監督の「話術」の勝利なんだろうね。
実際僕も上映中は、ほとんど何も考えずに面白く観られたわけですから。
― ― ― ―
最後に一点だけ、あまり誰もが指摘しないだろう点に触れておく。
それは、大河内一楼の存在だ。
吉浦康裕監督の映画は、これまで実は『サカサマのパテマ』しか観たことがないけど(たしか新宿の現アニメシアターで封切りで観た)、それと比べても格段に「受け止めやすい」「設定上の粗の少ない」「観客サーヴィスに富んだ」映画になっていて、監督の成熟ぶりはもちろんのこと、シナリオチェッカーとして入った大河内一楼の果たした役割の大きさを思い知らされた。
大河内は『∀ガンダム』から『プラネテス』『コードギアス』と、SF設定に関してはまさに海千山千のツワモノだし、『エウレカ』の第26話(家出レントンの帰還回)のような感情に訴える「泣かせ」シナリオでも抜群の才能を発揮する脚本家であり、吉浦作品のサポートに入るには最適の人選だったのではないかと思う。
大河内はパンフレットで「物語のクリエイティブは吉浦監督発のもので、僕は技術を提供した」と述懐している。「ただ、全体に要素が多くて複雑だったので、僕のほうでいったん整理した」「僕はお客さんに伝わりやすいようにとか、感情線がはっきりするようにとか、描く順番や要素を整える役割でした」云々。
これらは、まさに『サカサマのパテマ』では大いにひっかかりを残した部分で、『アイの歌声を聴かせて』では劇的に改善が成されていた部分に他ならない。
個人制作で長篇アニメ映画を積み重ねて来た吉浦監督にとって、商業アニメの世界で生き抜いてきた大河内の「設定の穴をつぶし」「わかりやすくして」「観客の感情移入を意のままに操る」職人的スキルは大いに参考になったのではないか。だからこそ、単なるスクリプトチェッカーではなく、共同脚本へと格上げして、丁重に迎え入れたのではないか。
僕は、本作に大河内が果たした役割は、みんなが考えているよりはるかに大きいと思う。
人間社会にロボットをゲリラ的に侵入させる暴挙的実験が美化されたおかしなアニメ映画!!
謎に評価の高い作品ではあるが、かなり王道の作品。
転校生によって、周りがかき乱される王道のプロットであり、オタク、ギャル、スポーツバカ、真面目、チャラ男などメンバーのジャンル選出にいたっても徹底的に王道ときている。
そこにAIという近代的なものが導入されているとはいっても、少年漫画もそうだし、海外の学園ものであっても、転校生が特殊な存在であることはよくある話で、それがロボットだったからといって、何も新しさは感じられない。
そもそも実際に人間社会での実験をしていないロボットをゲリラ的に人間社会に送り込むこと自体に問題があって、そんなバカな研究者がいるのかと思うほど。
主人公の母親が研究者であって、実際に人格的に問題があることからも、何かをやらかしてそうな人物ということはわかるのだが、そこにライバルの嫉妬が入り込むことで美化されている。
冷静に考えるとかなり無理のある設定であり、悪役扱いされている人物の方がまともなことを言っているのだ。
急に歌い出すという設定も上手く活かしきれておらず、学校に溶け込むのであれば、突然歌い出す不思議ちゃんでも、最終的には全校生徒に慕われるほどの存在になるというのであれば見応えもあるのだが、結果的に少人数のコミニティとして孤立してしまっていることが全体的にこじんまりとしている原因だろう。
少人数グループの中で、秘密を共有する設定はあたりまえのものとして、その周りのモブ的な存在をどう絡ませるかが醍醐味であるというのに、非常に小さい規模での展開しかみせず、恋愛要素とか、友情とかを描くのはドラマや映画といった実写でやればいいだけの話であって、アニメでやるのであれば、アニメにしかできないことを存分にやってもらいたいところだ。
ミュージカル映画であれば、もっと曲を聴きたいと思うものが、あまり聴きたくないと思わせる映画という点で問題。
「ミュージカルで突然歌い出すことの違和感を説明づけた」というようなことを書いてある紹介記事を読んだが、いいかげんに映画自体が非現実空間であるし、メタファーとして音楽で表現されているだけであって、急に歌い出すからミュージカルが嫌いという人は、急に銃が出てくるからアクション映画が嫌い、急にカーチェイスするからカーレース映画は嫌いだというのと同じことてせあって、紹介する側がミュージカルというものを理解できていない。
ひと昔前のステレオタイプに偏ったものを引っ張り出してきていて、作り手が理解できていないし、どうも茶化している部分が大きいだけに、ミュージカルファンからしたら非情に不愉快な部分も多い。
そうはいっても総合的に決して悪い作品ではないとは思う。しかし、記憶に残るような作品でもない。
ポスターや予告編ではピンと来なかったので全くリストに入ってなかった...
ポスターや予告編ではピンと来なかったので全くリストに入ってなかったのですが、周りの評判を聞いてなんとか今年中に観たいと思い大晦日に。いいストーリーでした。土屋太鳳さんも素晴らしかった!
予想通りの展開だけど目が離せない
既視感のあるストーリー展開やキャラクター設定は否めない
それでもちゃんと完結させたことが良かった
中途半端で終わるよりキチンと話がまとまっていて、後味が良い映画だった
土屋太鳳さんの演技が好きじゃなかったから二の足を踏んでいたけど、彼女は女優より声優を目指していったら良いのでは?と思うほど上手だった。透き通るような歌声がキャラクターにも映画にも合っていてハマり役だと感じました。
一人ひとりのキャラクターを魅せる手法だったり、物語の展開としては本当に既視感の塊
でも逆に既視感が仕事してくれたので、無理だろぉ〜とツッコミを入れるべきところでも何となく飲み込める。
ミュージカルアニメ!
ロボットアニメ!
青春アニメだから!!
と納得して無茶苦茶でも空中分解せずに宇宙に打ち上がることができたと思う。
ただ、監督との相性はあるのかなと思うので、万人向けではない。
シラケる人は退屈でつまらない時間を過ごすことになるだろう。
本作の監督過去作品を観て、好きだな!って感じた人が見たほうが楽しめる作品。
「今幸せ?」
うーん、よくよく考えたら今までの人生で人に「今幸せ?」って聞いたことがない気がします。日常生活で意外と口にしない言葉ですよね、「幸せ」って。
最近アニメを色々と観るようになったので足を運んでみた本作なのですが、お客さんガラガラだったので大丈夫かなっと思ってたら予想以上に面白かったです。これは脚本が上手いと思いましたね。いわゆる起承転結がハッキリ組み立てられています。
起ーシオンが転校してきて、騒動が起きる。
承ー色んな出来事を通して仲間の友情が生まれる。
転ーシオンが捕らえられて、みんな落ち込こむけど、シオンの正体を知って復活。
結ーシオンの救出
改めて文字にまとめてみても、ハッキリ分かりやすく物語が作ってあります。物語を作る上で起承転結って教科書通りかも知れませんが、それをちゃんと出来てる作品って観やすくて面白いんですよね。
んで、最初はいきなり歌い出すのに「ディズニーと違って日本でやると違和感あるな」っと思ったのですが、それもサトミが「ムーン・プリンセス」が好きだったからっという理由があったからなんですよね。脚本家考えてる‼️その違和感を感じる人が出るのも織り込み済みだったのでしょう。でもシオンってずっとサトミの事を覚えてて見守ってて。いい子や😢
ラストにシオンのデータを衛星に飛ばしたのもいきなりな感じがしてビックリだったのですが、あれって冒頭でトーマのシーンの時に部活のメンバーが親の機密情報パクってきてて、それが衛星にサーバーを置くっていう計画で、しっかり最初に伏線はってあったんですね。面白かったので映画館からの帰りにコミック買って帰って、それを読んでて気が付きました。サーバーとか身近な例で言われるとストーリーもわかりやすいですよね。世界観も例えばスマートスピーカーでテレビや電気付けたりするのは今では普通な訳ですし、極端な未来じゃなくって数年後こうなってるだろうなっていう地続きな未来を描いているので説得力あります。そろそろ人型ロボット来るかも⁉️
んで、ボッチとナードとスクールカーストの上位が仲良くなるって高校生のお話では鉄板ですよね。「ジュマンジ」でもそんな感じでしたし、古くは「ブレックファスト・クラブ」から連綿と受け継がれてる系譜です。そんな基本をしっかり抑えた、誰でも楽しめる手堅い作品だったと思います✨
ミュージカル仕立てのサイバーパンク
予備知識無しで観ています。
とある高校に極秘の目的で送り込まれたAI女子高生を軸に描かれる、SF+青春ドラマ+α。
なんと言っても本作の魅力は音楽。単にヒロイン役の歌唱力が素晴らしいだけではなく、舞台を歌い手一人が独占する場面設計の贅沢さを味わいたい。最近流行のアイドル系アニメのように複数人で舞台を分担しないので、作画・演出共に極めて高いレベルが要求されるところを、J.C.STAFFさんは見事に水準以上のものを作り上げた。それは多分に、「萌え」ではなく健康美をメインに据えたキャラデザインと動画の成果だと思う。とにかく媚びない。実際にはそうすることで媚びているんですが、そこに下品さがないのは、流石J.C.さん。
また、特に前半部分の劇伴で、シオンの躍動感を低音木管楽器(おそらくバリトンサックスとバスクラ)で表現するのが、見事に決まった。かっこいい。ここのジャジーでゴージャスな雰囲気と後半のリリカルな旋律との対比が、場面の心情を巧みに描写していた。一歩引いてちゃんと存在感がある劇伴は、最近では稀有な出来栄え。
シオンのポンコツAIぶりが文字通り思わぬ「進化」を遂げて、さらに予想外の仕掛けを持ってくる展開は、超正統派SF的展開。攻殻機動隊等のハード系とは味付けこそ違うけど、ちょっとしたサイバーパンク的ノリも見せて、しっかり物語を構成した。そこに織り込まれる青春ドラマのテンポが良くて、シリアスとコミカルのバランスがよく取れていると感じる。AIの倫理的本質に迫る問いも出るが、そこで高校生が見せる反応が、若々しくていいのです。クラーク的楽天主義と言えば、わかる方にはわかるかな?
もう一つの軸となる大人たちの物語は、結末も含めてちょっとテンプレなのだが、これは映画の尺を考えると止むを得ないか。一つの都市(ラストカットでおよその場所が示された時、思わず「そこか!」と叫びそうになりました)を丸ごとAIの実証実験に用いるという設定は、『電脳コイル』を連想させる。その世界観をリアルにすべく、序盤で何気なく描かれる看板や道路表示が、実は重要な伏線で驚いた。
先にも触れたが、高校生の健康美を前面に押し出した作画は、爽快感に満ちていて心地よい。そこにちょっとピントのずれたシオンの視線が入り込むことで、AIが持つ(かもしれない)感覚あるいは感情のずれが、巧みに表現された。路線バスもAI運転なので当然無人なのですが、実は必ずしも無人とは言い切れない…そういう「人に優しいAIの姿」を模索した、生活描写もうまい。
シオンがポンコツぶりを発揮しながら文字通り成長していく描写は、いろいろぶっ飛んでいて、単純に楽しかった。ミュージカル歌唱の場面は、シオンの心象に見合った有名どころの作品をうまく引用していて、場面を盛り上げてくれた。強いていえば、シオンがある作業の重要性に気づいてそれを実行するのですが、後の決定的な場面でそれが活かされたのか、ちょっと分からないのが、残念。
音楽室でシオンが歌うと、彼女の歌がそのまま(というか伴奏付き)で壁面の電子黒板に楽譜として登場したり、大合唱の場面でオブリガードを歌うのが実は一番似合わなそうな○○だったり、音楽絡みでのくすぐりが多くて、そこに敏感な人なら、本筋以外でのお楽しみの方が多いくらい。そういう細かな部分のお遊びが、実はシオンのAIとしての本質と深く関わっていることも多く、作品世界における人の暮らしとAIの融和性を感じさせる大切な要素になっている。
完全オリジナルのアニメ作品としては、見事な出来栄え。確かに全てが100点満点ではないかもしれないけど、どの評価点を切り取っても80点は確実にある。それはつまり、名作だと思うのです。なので、ちょっと甘いけど満点評価。いろんな意味でJ.C.STAFFらしさが出て、それが全てプラスに働いた。ケレン味などに頼らず、王道の作りでこれだけ楽しめる。良質のエンタテインメントでしょう。
評価が高い理由を聞かせて
元々見る予定は無かったが、評価が高いので鑑賞することに。アニメは苦手で、未だにジブリ系はほとんど見ていないし鬼滅だとか呪術だとかそういう流行りも一切見ていないので、本作もそこまでハードルは上げすぎず。でも、★4.1は期待しちゃうよね〜。
え?なんで★4.1なのこの映画?
これで泣けてしまうの?意味わからない
別に面白いんだけど、ここまで評価高いのには理解できませんでした。
とある事情で転入してきたシオン(土屋太鳳)は、クラスで孤立しているサトミ(福原遥)に「今、幸せ?」と声をかけ歌を歌い出す。シオンは運動も美術も学力もずば抜けているが、彼女には秘密があった。
キャラクターは色濃く、愛おしい。
感情が変化していく様や親しく触れ合っている姿は見ていて微笑ましいし、単純に青春ものとして面白い。特に、トウマが個人的にはめっちゃ好き。工藤阿須加、声優向いてるじゃん。
ちょっとした伏線回収みたいなのは、これが伏線となるんだろうなぁってのは想像できるけど面白みがあるし、CGのクオリティの高さに初っ端から圧倒されるし、テンポの良さは快適で非常に見やすかったり、とこうみれば割と悪くない映画。
ただ、違和感が最初から最後まで解消せず、エンドロールを見てようやくわかった。
土屋太鳳、あんたか!!!笑
元々私はこの人の演技があまり好きじゃないんですけど、今年は「哀愁しんでれら」「ヒノマルソウル」で意外といいじゃんと思っていたんですよ。でも、やっぱり声だけ聞くとすごくキツイ。苦しそう。このシオンという役には合っているのかもしれないけど、上っ面な感じで歌も話し方も何も響かなかった。
他にも違和感は大量に。
AIの魅力とかさ、素晴らしいさとかさ、無情さとかさ、全然綺麗に描けてない。今年は「映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天かす学園」がAIをテーマに完璧に映画を作りあげていたから、それもあって本作は大幅に劣って見える。丁寧なようで雑。終わりよければすべてよし。どこかで同じような言ったことあるな。あ、「そしてバトンは渡された」か。お涙頂戴にまんまと泣かされてしまうのか、日本人は...。
んー、冒頭からの引きが弱かったのかな。
ノリに乗れず、冒頭20分で取り残されたような気分になってしまった。つまらないとまでは言わないけど、不完全燃焼だし特出していい所もなかったような。。。
街中が上白石萌音が出ていたSociety5.0の紹介映像みたいだった。こうなっちゃうのかな、世の中。リモコンどこ行った!って会話が無くなるのは嬉しいような寂しいような...笑
ミュージカルだった
無頓着で無垢なAIに翻弄されながら青春時代を送るストーリー。
無垢な人物が苦手なのといきなり始まる唄に違和感があったため、特に大きな感動はありませんでした。
サマーウォーズの未来版?なのかな?
デジタル化されてAIで管理された世界と、アナログな生活感がチグハグで面白かったです。
感動シーン戸思われる部分も、AIがストーキングしているようにしか思えず、怖かったです。
残念。
泣けた
予告をみて、見たいと思ってた。
AIが将来こうなるのだろうか?
もし、暴走したらと思うと怖いけど、
こんなAIならみんな人が幸せになれる世の中になれていいね。
たくさん泣けたいい映画で、なんか元気が出た。
ジュブナイル。ミュージカル嫌いの私でも楽しめた
★3.7-8ぐらいです。楽しめたし、良作。
推し映画館のシネマシティが力を入れ始めたので極音でみた。
キャラデザ 良
クオリティ 良
声 良
ストーリー 普通
歌 良?
ディズニーのミュージカルを受け付けない私でも最初から予防してたら、しらけないで見れた。
キャラデザやアニメクオリティはかなり良かった。
ただ、ストーリーが最終的にはジュブナイルにありがちな展開でそこまで面白くならなかった。
シオンの正体はネタバレしてたので、そこまで驚きではないんだけど、普通に考えると性能ヤバすぎる。それ物語によってはラスボスになるやつだわ。
あと、何気に登場人物の多くがストーカー気質なのがちょっと気になったかな。
涙、涙。
ここ最近みたアニメの中で一番泣けた作品でした。
画も可愛いし主人公も可愛くて。
太鳳ちゃんの声や歌声も柔らかくって主人公に合っていて、癒される声でした。
メロディーも良くて聴いているうちに大好きになりました。
残念だったのは、太鳳ちゃんの歌声がキンキン聴こえたことと、高音が出ていなかった。
キンキンは録音時調整できなかったのかな、と。
高音出ていなかったのはご多忙だし、しょうがないのかなと思いつつ、素敵な歌声だっただけに気になってしまいました。
とはいえ内容は本当に素敵。後半は泣きっぱなしでした。
上映最後にみたのでもっと早くみればよかったと後悔しました。
ストーリー的に難しいとは思いますが続編がみたいです。
皆さんの評価納得、細かいですが☆4以上、4.3のイメージでした。
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