「ストーリーが無茶苦茶」アイの歌声を聴かせて n kさんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリーが無茶苦茶
映像や音楽はよく、各場面をブツ切りで見るなら良いのだが、ストーリーが駄目。
ルールを逸脱し問題を起こしたのは主人公側なのに、「感受性豊かな女子供」と「性格の悪い男達」という構図にして後者を叩きのめし、やらかしに対する反省も処罰もない。
・勝手に街中の機械をハッキングして従え、あるいは勝手にデータコピーする実験段階のロボットを、遠隔の監視・緊急停止措置も傍で見張る人間もなく研究室の外に放つ。
・問題のあるロボットを作っておいて「ロボットが起こしうる問題を恐れる人間」を馬鹿扱いする。
・作中世界でも法律的に駄目な、政治家の口利きで隠す程の問題実験を、幹部や学校に黙って強行する。
・放課後には学校の駐車場に行かなければいけない筈のロボットをすっかり陽が落ちるまで連れまわしておいて、回収に来た社員を誘拐犯扱いする。
・実験中断で社内(=本来の場所)に置いてあるロボットを人間の監禁のようにヒステリックに捉え、会社の所有物であるロボットを勝手に持ち出そうとする。
・他人の社員証を盗んで会社に侵入する。防犯カメラをハックする。
・判断能力のない子供にライフロガーを持たせて実験に使う。
・起こした問題の後始末を会社にさせておいて「問題が表沙汰になって困るのは役員」と言う。
子供が見たのなら面白いと思うかもしれないが、教育上よろしくないな。
科学技術の観点で見たツッコミ所は5や10できかないが、公式サイトにSFの文字がないので、物理法則から異なるファンタジー世界ということにしよう。人間関係の描写は主人公達で閉じてしまい「柔道部員は勝利を祝ってくれないのか」「アヤはサトミと他の生徒の仲立ちをしないのか」など、不自然である。
「ミュージカルを作りたい」「こんな場面を作ったら映像として美しい」が先行した結果、辻褄を合わせて全体をまとめるのに失敗したように思われる。
辻褄合わせに非常に納得です。感動で泣いた部分も確かにあるのですが、1番の感想は「あの母親は社会人としても母親としてもダメだ」でした。
商品開発をする組織であれば安全性重視は当然。あんな尖った言動をしていれば女性でなくとも足を引っ張られて当たり前。仕事が上手くいかなければ酒浸りであたり、明らかな違法行為に子供たちを止めるどころか巻き込む。
あり得ないだろと思ってました。