「塵に神の意思は宿るか」聖なる犯罪者 フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
塵に神の意思は宿るか
とある聖職者が誕生する話
予告編を見た時から、主演のバルトシュ・ビィエレニアのやばい感じが見たくてワクワクしていた。
彼は予想を超えてやばかった、犯罪者の顔と聖職者の顔、天使と悪魔、正気と狂気がない交ぜになった難しキャラクターをよく体現できなと思います。
もう劇中、ずっと目がはなせないですよ、彼の目が完全にイってます。吸い込まれそう。
物語が進むにつれて優しさというか使命感というか、信念を持ったいい顔になるのですが、彼の目を見ていると不安になる。
強烈なキャラクターで画面を凝視させるだけなくちゃんと物語も練られていて、宗教に対して深刻なメッセージを投げかけていて考えさせられる映画でした。
犯罪者の言葉でも心に刺さった棘を抜けるし、癒しを与えることもできる。
飲んだくれの司祭の言葉も村人の支えになる。
彼ら二人は聖職者として不適合かもしれないけれど、心を救う力は備わっている。
そこに素行の悪さや犯罪歴は関係ないのかも知れない。
もちろん信用が存在しなければ言葉の重みも変わってくるけれど。
宗教と言葉の力を使う者を斬新な角度で見せてくれた。
お気に入りのシーン
①初めてのミサで不安ながらも聖歌を歌いだし、笑顔がこぼれる場面。
「あ、これいけるわ」
って絶対思った瞬間だよねあの笑みは
②刑務所仲間と酒飲んで取引する場面
なんだかんだ主人公の説得スキルが上がって相手も弱みを見せ始めたのに・・・
③小屋が燃えてる場面
予告編でも見れるけれど、終わりの始まり、決戦の合図、炎に照らされた主人公の顔がなんとも
これら以外にもいいシーンというかバルトシュ・ビィエレニアが画面に出てるだけで画になる。
危うさや病的な風貌にここまで惹かれてしまうとは思わなかった。
一種の怖いもの見たさかも知れないけれど、目が釘付けになる俳優なので今後に期待ですね。
色んな映画を見て、やばかったなーと思うことは多い。
やばかったの種類もそれぞれだあるが、
「聖なる犯罪者」のやばかったが一番近いのは「暁に祈れ」のリアル囚人エキストラの方々のやばさかな。
全然違う色合いの作品だし役者と素人でまったくの比較できないけれど、映画という作り物を超えて、こいつヤバいと思ったところが共通点かも。
囚人エキストラは現役の受刑者達だから雰囲気と存在感は当たり前に有る、バルトシュ・ビィエレニアは演技とは思えない犯罪者の雰囲気と存在感が備わっている。
これが彼の演技か内面の一部かわからないけどもいい俳優だと思います。
たとえこの作品しか出なくても記憶に焼き付く演技でした。
映画の枠を超えて脳を刺激してくれた本作に感謝。
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劇中セリフより
「重要なのはどこから来たじゃない、どこへ行くかだ。流れに身を任せるだけさ」
行き当たりばったりな人生も神のご意思かもしれませんね。