「ハードな環境が善き人であることを困難にする」聖なる犯罪者 エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
ハードな環境が善き人であることを困難にする
これは傑作。1月のマンスリーベストになりそう。
少年院に服役中のダニエルは神父の影響を受け熱心な信者となった。自ら神父になることを望んだが、前科者は聖職に就けないと告げられた。
仮釈放されたダニエルは立ち寄った教会で新任の司祭と間違われ、病気の司祭の代役を頼まれた。ダニエルはトマシュと名乗り司祭となった。
素性を偽り聖職者となるのは犯罪なのだが。
トマシュは教会に通う者たちに私利私欲なく善を施した。権力者に迎合することなく行いを戒めた。聖職者として成すべきことをした。
善と悪は対岸に在るものではなかった。一人の人間の中に共存した。それはダニエルに限らず、誰の中にも在った。皆迷っていた。罪を背負っていた。
ハードな環境が善き人であることを困難にする。この作品の根底にある悲劇は普遍的なものだった。
コメントする