「ビジュアル重視の、とっ散らかったストーリー」写真の女 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
ビジュアル重視の、とっ散らかったストーリー
「面白かったか?」と聞かれれば、イエスだ。
しかし焦点の定まらないストーリーで、「つまらなかったか?」と聞かれれば、やはりイエスだ。
前半は、「2つのテーマが走っているのかな」と思って観ていた。
・上手い嘘は人を喜ばせる
・他人を通してしか自分を愛せない
前者は、葬儀屋の男の話とも関連し、後者は、SNSのフォロワーの数を上げることに血眼の主人公の女とも関連する話だ。
「どこへ話が収束するのかな」と思っていたら、
・本当の自分は誰?
というところに行き着く。「なるほど~」と思った矢先、“ちゃぶ台返し”のように、ストーリーは奇妙な方向へ進んでいく。
また、カマキリを主人公になずらえているのは分かるが、長尺を割いているわりに、実質的には本筋とは無関係だ。
主人公の男は寡黙なだけで、“女性恐怖症”には全く見えない。むしろ、女好きと言っていいような行動をとっている。
最後まで観ても、“これ”という語りたいものは見当たらず、意図的に“とっ散らかった”内容を楽しんでいる脚本なのかな、と考えざるを得なかった。
ただ、“画”としては印象的な作品だった。
登場人物の様々な表情。レトロな町の雰囲気。女のアクロバティックなポーズや、シュールな町中のバレエ。亡き子が登場するファンタジー。そして、カマキリの“芸”。
「結局、何なの?」という残念作だったが、「面白かったか?」と問われればイエスである。
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