「男の責任不在感」ベイビー・ブローカー Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
男の責任不在感
クリックして本文を読む
万引き家族に続き、疑似家族の描き方は悪くない。だが気になるのは圧倒的な父親の責任不在感でこの点においては「万引き家族」「そして父になる」より退化している。
まだ若いソヨンを妊娠させておいて、しかも中絶させようとしたウソンの「生物学的父親」の責任についてはほとんど言及されない。いくら殺されている(個人的には正当防衛の部類だと思う)とはいえ、そもそも女性を「金で買って妊娠させた」男の責任が全く言及されないのは気持ちが悪い。売春しないと生活できない女性は福祉につなげるべきであって「買う」べきではない。
子どもを捨てようとしている母親であるスジンを、親に捨てられているとはいえ無関係の、それも成人男性であるドンスが一方的に「赦す」のも気に食わない。母親であるスジンを赦すも赦さないもその権利があるのは子供であるウソンだけだ。
サンヒョンに対してもう会いに来るなという娘。その背景くらいは軽く触れて良かったのではないか。娘に会えなくなった父親の哀愁にばかりスポットを当てるのではなく、娘にも会いたくない理由がそれなりにあるはずだ。
最終的なウソンの処遇もイ刑事の母性に頼るのか。ここも男の責任不在。刑事としてのキャリアは?福祉機能しろ。なんだかいい話風にまとめてるけど妊娠出産において女ばかりが責任を負わされる現実を登場人物が疑問を抱かずにいてげんなりした。
ヘジンの子役が演技とは思えない傍若無人さで、そこが子供らしくてよかった。しかしトイレの後は手くらい洗え。海で手をすすげ。その手でウソンに触るんじゃない。
いろいろと言いたいことはあるが、ウソンの可愛さで★3つ。
コメントする