「タイトルなし(ネタバレ)」ベイビー・ブローカー りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
韓国釜山の赤ちゃんポストを設置しているとある教会。
ひとりの若い女がポストの前に赤ちゃんを放置して帰った。
部下とともにポストを監視していた警察のアン・スジン(ペ・ドゥナ)はポストの下に置かれた赤ん坊を憂慮し、ポストに入れた。
ポストに入れられた赤ちゃんは、教会の非正規雇用スタッフ・ドンス(カン・ドンウォン)によって嬰児売買者サンヒョン(ソン・ガンホ)の手に渡る・・・
といったところからはじまる物語で、こう書くとサスペンス映画のようなのだが、残念ながら、サスペンス要素は乏しい。
興味深い題材ながら、映画的には面白味が乏しく、翻るといくつかの要因が考えられる。
1)サンヒョンがベイビー・ブローカーとなった理由
くだくだしく描く必要はないが、「それしか生計を立てれなかった」というのが欠落
2)ドンスがベイビー母に惚れてしまう過程が希薄
彼女に惚れるなら、前の同じような境遇の女性にも惚れそうだようね。
ならば、彼女が「はじめて」とかというシチュエーションが必要なのだが、そんなことはない。
3)そもそも映画の話法として、家族があったサンヒョンの物語(彼には別れたといえど娘と妻といる)と、その他の人物(嬰児の若い母親は別として)の家族不在の設定とがつくりすぎ感がある
個人的には、ここのところが納得できていないのですが、映画としては
血のつながった家族があったサンヒョンが家族を喪う話と、
血のつながっていない人々が「家族」的な繋がりを得る話、
だと思うのですが、
後者に重きが置かれたために、、「疑似家族」=「最小のコミュニケーション}=「絆」という、個人的に収まりの悪い所に収めてしまった感があり、残念ながら評価できません。
欧米では、サンヒョンの物語(特に、ほとんど何もしていないにみえる終盤の演技が評価された)ようにも思えますが、脚本的にはかなり甘い感じがしました。