劇場公開日 2020年10月30日

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「構図や色彩に独特の美しさが際立つ一作。ちょっとアイルランドの歴史を調べておくと、さらに楽しめるかも。」ウルフウォーカー yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0構図や色彩に独特の美しさが際立つ一作。ちょっとアイルランドの歴史を調べておくと、さらに楽しめるかも。

2021年2月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

昨年から、『ロング・ウェイ・ノース』『羅小黒戦記』など、様々な国の良質なアニメーション作品が公開されていますが、本作もまた、なかなか日本のアニメでは目にすることのないような、独特の構図と美しい色彩を特徴としています。

トム・ムーア監督は、これまで「ケルト三部作」として中世アイルランドを舞台とした、長編アニメーション作品を発表しており、本作はその完結編です。

 本作ではウルフウォーカーを、ケルト神話と動物憑依譚を下敷きとした、人間界と自然界の狭間に属するような存在として描かれています。身体が完全に獣と化す狼男とは違って、ウルフウォーカーは魂のみが、眠っている人間の身体と分離して、別の身体として狼となります(ちょっとエクトプラズム的でもある)。

 身体と魂の分離、人間でありつつ狼でもある、といった特徴は、作中で詳細な説明があるわけではないため、ちょっと頭の整理が必要ですが、人間側を代表するロビンと、狼側を代表するメーヴがそれぞれ、表情豊かに演じているため、大筋を追うことは問題ありませんでした。

 ただロビンが街の人々に阻害されている理由、護国卿の存在など、当時のイングランドとアイルランドの歴史的背景を知らないと、ちょっと物語の筋を追い切れなくなってしまう可能性があります。そこでもし時間的に可能であれば、軽く予習しておくと、より一層この物語を楽しめるかも知れません。

yui