劇場公開日 2021年11月27日

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「 素晴らしかった。時間もかかっているが、対象の持っている圧倒的な厚...」水俣曼荼羅 えみりさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 素晴らしかった。時間もかかっているが、対象の持っている圧倒的な厚...

2022年1月27日
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鑑賞方法:映画館

 素晴らしかった。時間もかかっているが、対象の持っている圧倒的な厚みに、映画は決して引けを取らず、素晴らしかった。6時間もあっという間だった。
 わたし的には、浴野の学者としての生き方が素晴らしいと思った。そして、御用学者たちの酷さを思った。
 脳にまつわる特異な欠陥については、ちゃんと調査をすれば、医学的にもすばらしいものでもあることがわかる。放射能と同様、目に見えないところで人に与えている影響を思う。
 みちさんには、去年、水俣でお会いしているだけ、その激しい若い情熱に打たれた。官僚の、上告については謝らないというメモを発見して奪うシーンは圧巻。
 実子ちゃんは、スミスにとっても重要な少女だった。年をとっても、あの表情の面影がある。原監督は笑顔を取りたかったようだけれど、ラストシーンで、そうでない顔を取ってしまったことには、出来事性がある気もする。
 アル中だと言って酔っぱらった二宮先生が、患者はうまいものがわからず、セックスもこすってる感覚しかない、文化が奪われると叫んで泣くシーンは胸を打つ。それがない障害者は人間じゃないのかとは言いづらいので、難しいけれど、奪われる人にとっては大事なことだ。そして、日本はこういうことを評価できない国。
 原さんは古いジェンダー体質。恋多き女と言っても、あのように踏み込むのは、男性にとってもハラスメントっぽい。しのぶちゃんもコクられたと歌で言ってるのに、その証言は扱っていない。原さんは、振られ続ける人生、と自分のカテゴリーの中で彼女を見ており、失礼だ。
 温泉での夫婦のシーンも、ちょっとした二人のやり取りに愛が感じられるとはいえ、初夜についての原監督の決めつけは、ちょっと不愉快な感がある。
 しのぶちゃんが自立したいけど、母親が難色を示す点での介入はよい。CP撮っただけある。
 整理しきれないような不調和な材料が生のままのように放り込まれていて、それもすれすれ編集の一環なのだろう。
 みちさんのお父さんも出ていた。

えみり