劇場公開日 2021年11月27日

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「奥崎さんを憑依させた弁護士先生が素晴らしい!」水俣曼荼羅 屠殺100%さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0奥崎さんを憑依させた弁護士先生が素晴らしい!

2022年1月3日
iPhoneアプリから投稿

このような深刻な内容を扱っているドキュメンタリーとは言え、原一男監督の手にかかれば一大叙事詩、一大エンターテイメントとなっており、長さは問題にならないです。20年も取材しているのだから、むしろこの長さは普通。

エンターテイメントが花開くのは、県や環境庁と水俣病関係の方々の会見バトルシーン。

最初は少しソフトに話されていても次第に痺れを切らし瞬間的に怒る人たち、これはまさに奥崎謙三氏を観ているに等しかった。みなさんに奥崎謙三が憑依したと勝手に思いました。

とくにスキンヘッドの弁護士の先生は、怒り方が素晴らしく、奥崎謙三にしか見えない。いわゆる会社とかでパワハラの時に見せるあれですよ。バカヤロウ!この野郎!旧日本軍の上官たちが見せたあれが日本の津々浦々に連綿と受け継がれているのを見ました笑。

それで、その会見、まず一番真面目そうな下の人から順番に公開処刑。わからないならわからないって言えと弁護士先生に奥崎モードで言われて、一言わかりません、とは答えれずにモニャモニャわけわかんないこと言っちゃって観てる側もヤバい、と思ったら、そうかぁわかんねえんだな、と意外にもスルー。下の人には優しい?よしわかった次!ときたら今度はその上の上司が黙ってる。黙ってるのには、キレて、わかんねえならわかんねえって言えよ!そうしたら許してやる、って黙る作戦はダメでした笑。

でも権力側は役所のほうだから弁護士先生は、パワハラする側ではない。パワハラというより逆パワハラ?

シルバーアクセサリや首からかけた数珠が怪しさを増されてましたが、その怒り方はもうすごい。笑ってしまうしかないでしょう。

そして、県知事の蒲島さんと知己の仲なのか、期待していた蒲島さんがわけのわからない長い役所専門用語を繰り返しロボットのような答えしかしなかった時の、落胆ぶり見せた時も素晴らしかった。本当に悲しそうだった。

蒲島さんはすごい経歴の学者、政治経済学のドクターなのに、役人になるとこうなっちゃってその才能がもったいない。才能が誰が見てもおかしいこんなくだらない行政に使われるって、日本終わりますよ。

賛否あるけど、静岡のドクター川勝知事の方が大井川を守るためにリニア工事止めてて、クセは強いけど、自分色出してますから、こんなロボみたいにならないでしょ。博士までなってロボになるのは悲しすぎますよ。

役所とか巨大企業もそうだけど官僚的な大組織って、才能を無駄遣いするのが好きだね。見てて悲しかった。

屠殺100%