「あくまでも感覚的に楽しむ6時間・・・」水俣曼荼羅 SHさんの映画レビュー(感想・評価)
あくまでも感覚的に楽しむ6時間・・・
これほどまでの尺だと、もはや誰にとっても長すぎる!だろうけど、個人的には3部構成の全編楽しめました。自分が見た映画館では各部ごとに20分の休憩もあったし、最後、原一男監督のぶっちゃけオモしろトークもあったし、大満足です。結局トータル7時間超。充実した一日が終わったなーっていう感覚です。もっとも、製作は15年、訴訟にいたっては30年以上、患者にいたっては50年、60年以上なのですから、数時間をこの作品のために捧げても─。
映像そのもので時間というものを実感できます。
歴史のように習ったことが現在進行形で続いている驚き、そして懸命に生きている人々─、これだけの長さなので色んな意味でつらいでしょうけれど、それ相応の楽しみも必ずあります。
確かに題材からして重々しいものですが、想像以上に面白いと思います。
勝った負けたというところも当然盛りだくさんで、かなり気になる内容ですが、それよりも、あらゆる個を存分に見せつけられることで、笑ったり涙したりしちゃいました。恋する女性、普通に振る舞うための努力をする人、探究者、そして父になる原一男などなど・・・
もっとも印象的だったのは、煩悩ということば。それは作品のかなりあとに発せられるのですが、それは作品全体を覆っているものであり、だからこのタイトルなのかなとも思ったりしました。
この作品は常に悶え続けていたのだなー、いや自分も含め全ての人は悶えているものなんだなーと、哀愁にあふれた何とも言えない表情のストップモーションを見つめながら、そう思って美しい水俣の海を見つめて作品は終わっていきました。でも、まだまだ闘いは終わらない、みたいなーそんな印象の作品でした。
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