「諸行無常(この世のすべてのものは絶えず変化していく)を感じる作品」ギレルモ・デル・トロのピノッキオ eigazukiさんの映画レビュー(感想・評価)
諸行無常(この世のすべてのものは絶えず変化していく)を感じる作品
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怖くてさびしい気持ちになりました。ラストシーンはピノキオの関係者が年月とともに次々と亡くなっていきピノキオがひとりで墓にいる場面で1個だけの松ぼっくりが枝から落ちてピノキオもやがて世界からいなくなったことを観客にほのめかしています。最初から最後まで次々と登場人物が亡くなっていくのでこれは死がテーマの作品だと思います。ピノキオは木の人形なので死なない存在ですが最後に死が示唆されピノキオは最後は人間になれたから死ぬのだと説明が入ります。最初にピノッキオに命を与えた精霊は死神だと思います。最初も最後も墓で終わります。人間いつか死ぬから神を信じなさいと宗教団体にやんわりと諭されている気持ちになります。
追記:
ギレルモ・デル・トロはメキシコ出身の映画製作者ですがメキシコでは死者をしのんで感謝し生きる喜びを分かち合うための「死者の日」の有名なお祭りがあります。死者の日のお祭りは大変明るい雰囲気で行われガイコツが町中に飾られます。このメキシコの映画監督が制作したこの作品を見ると死に対するイメージがメキシコっぽいと感じました。死は悲しいものや縁起の悪いものというのが日本でのイメージですがメキシコでは死は悲しいものでも忌み嫌うものでもないようです。この作品を最後まで見ると死は悲しいものとして描かれていないと感じます。人間として死は身近であたりまえのことであり(メキシコでは死者のお祭りで死者といつでも会える)生と死はそんな違わないという考え方をこの作品から感じました。
結論:メキシコでは死は怖いものではないと考えられているからこのようなラストシーンが作れたのだとと思う。これはハッピーエンドである。
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