「ストップモーションが材質の違いを強調できる」ギレルモ・デル・トロのピノッキオ 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
ストップモーションが材質の違いを強調できる
『ピノッキオ』という題材はストップモーション向きだ。木の人形と人間を絵で描き分けようとした時、その材質の違いまで描きこむことは難しい。関節を人形風のジョイントにするなどして区別させるわけだが、ストップモーションなら材質のレベルで違いを出せる。その違いが全編に渡って大きな効果を上げている。
材質レベルで異なることが映像から実感できるからこそ、ピノッキオの異質さが際立つ。それ故に、彼が迫害されたり物珍しがられる理由も、人間になりたいという夢も切実に伝わる。ブラックファンタジー的なテイストで政治的風刺を含んでいる点も、ディズニー版よりも原作に近い。
狂乱のファシズム時代を背景にしているのは、現代社会に対する警告だろうか。童話の風刺力という物は時代を超えるのだなと思い知らされる作品だ。
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