ウォール 絶体絶命
2019年製作/94分/レバノン・フランス合作
原題または英題:All This Victory
スタッフ・キャスト
- 監督
- アフマド・ホセイン
- 製作
- ミリアム・サシーヌ
- 脚本
- アフマド・ホセイン
- 撮影
- シャディ・チャーバン
- 編集
- ヤニス・アルキアダキス
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カラム・ホセイン
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アデル・シャヒン
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ブートロス・ルーハナ
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イサム・ボ・ハレド
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サハール・ミンカラ
2019年製作/94分/レバノン・フランス合作
原題または英題:All This Victory

カラム・ホセイン

アデル・シャヒン

ブートロス・ルーハナ

イサム・ボ・ハレド

サハール・ミンカラ
2006年のレバノン侵攻を題材にしたスリラー?かな。
レバノンに拠点を置いていたヒズボラとイスラエルの軍事衝突。レバノンにしてみれば人の庭で何しとんねん!なわけで、この中で虐げられる一般市民をミニマムに描いた真面目な作品。
題材が題材なだけに、もっと社会的メッセージや製作者の主張なんかが色濃く出るかと期待したのだが、もちろん多少はあるもののかなり薄味であったと思う。
レバノン侵攻でこんなことがありました、こんな目に合いました、悲劇的ですと訴えるだけで、少なくとも私にはそれ以上のものは汲み取れなかった。
一応、最後にネタバレありで少しだけ書くつもり。
期待したメッセージ性は薄かったものの、ほとんど音と光だけで恐怖を演出するスリラーとしての面は良かったと思う。
イスラエル兵の姿が見えないことで、より恐ろしさを増幅させる。ホラーなんかもそうだが、相手が得体のしれない存在であればあるほど恐ろしいし、それが自分のすぐ側にあればなお恐ろしい。
音だけの爆撃、音だけの銃撃、それが家のすぐ前で起きている恐怖。
しかしそれだけでは94分という短さでも保たせるのはキツかった。
もともと悲劇的なレバノン侵攻を描くことしか考えていないのかもしれないが、映画として楽しむために、エンターテイメント的なスリリングさがもう少しあればと思う。
ここからネタバレ。
主人公は父を失い、妻は帰らぬ主人公を諦め一人国外へ脱出したようだ。
これにより孤独になってしまった主人公は瓦礫の山、廃墟になってしまった街に一人で彷徨うエンディング。
原題から察するに、こんなものが勝利と呼べるのか?ただ踏みにじられただけだろ?と言っていると思う。
なかなか皮肉が効いてるとは思うものの、結局、先に書いた、こんなことがありました、こんな目に合いました以上のことは特になかった。
ガザ地区の戦闘のニュースを観てこういう映画が見てみたくなった。この映画は2006年のイスラエルのレバノン侵攻にインスパイアされて製作されたレバノン(ヒズボラ?)側から見た戦争。既にドローンも飛んでおり、現在ハマスもしくはパレスチナ側がドキュメンタリー映画を作ったらもっと酷い戦争シーンが出るだろうが概ね方向性は同じだろう。出演者は全てプロの俳優なのだろうが見たことのない人達ばかりなので無茶苦茶リアリティーがある(多分演技力もある)。これはドキュメンタリーなのか?やはり中東は難しい、僕には理解できない。公平を期すためにも、この映画を観たイスラエル人の感想も聞いてみたい。