溶岩の家のレビュー・感想・評価
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ココロの溶岩。
ペドロコスタ長編2本目。出稼ぎ工事現場で事故?って意識不明のおっさんの付き添いで彼が産まれた貧しい島にやってきた看護士と、その島の男子との騒動。
最初のかなりグローアップして荒れた火山記録フィルムが印象的。昔は政治犯の流刑地だったという何もない火山島だが暮らす人間の中にはもやもやした溶岩の様な物がありますよ、島を出たいとか嫉妬や性欲とか、でもまた戻って来ちゃいますね、呪いですかね?そんなテーマなんじゃなかろうか。
主役は前作でもヒロインだった目つきのカッコいいイネスデメディロス。島民など素人を上手いこと撮影していて監督の興味が自分の中から外に移ったように感じる。絵のカッコよさはフレーミングと色、火山礫のコントラストによってたんぽされているが前作の様な狙った不自然なライティングは殆どない。
会話は前作同様ブツ切れでわかりにくく万人向けとは言い難い映画だが、妙な中毒性はある。
熱病にうなされるような映像体験
とにかく映像に圧倒される。カーボベルデの黒々とした岩石ばかりの山道をワンピースで闊歩する主人公マリアーナの力強さ。
住民の大半が、生きるために出て行くこの島に、異邦人である彼女が感じ始める連帯と愛着。
昏睡状態の患者レオン、バイオリン弾きの老人バソエと息子達、末娘ティナ、島で唯一の白人女性エディット、その息子?、犬を殺した少年タノ、島の女アマリアやアリーナ。住民達は言葉少なく、説明はほぼされないので相関関係は曖昧だ。それよりも荒々しい映像と土着の音楽に身を委ねた方が良いだろう。
木につるされた点滴、裸足になったら足の裏が暖かい大地の感触、波が風にあおられ横なぐりに吹く霧雨、祭の喧騒、印象的なショットの連続である。
そしてマリアーナ役イネス・デ・メディロスの比類なき存在感!
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