劇場公開日 2021年7月2日

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「7/2(金)では2番手以降に入るかな…。」アジアの天使 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.57/2(金)では2番手以降に入るかな…。

2021年7月3日
PCから投稿

今年75本目(合計139本目)。

テーマとして、「日韓を取り巻くお互いの認識論(歴史上の事情も絡む)」という深いテーマを扱っています。ただ、このことを全面に押し出すと、内容がセンシティブに過ぎるため炎上しかねず、よってこのテーマは最初の30分ほどで提示されますが、表立ってそれが表現されることはなく、日本から韓国に訪れた男性と、たまたま知り合った韓国の家族とがともに韓国国内を移動することで、「お互いの文化などを尊重する」ということを伝えたかったのだろうと思います。その点は十分に認識可能で、理解できないわけでもないです。

ただ、この点はどうしても日本国内ではタブー視されることが多く、真向から取り上げるなら取り上げる、取り上げないなら取り上げないで統一しないと、何を伝えたいのか意味が取りにくくなってしまい、特集や予告などからわかる範囲だと2番手以降にならざるを得ないような気がします。
とはいえ、7/2の週は競合枠が非常に少なく、その点ではラッキーかな…と思います。

内容としてやはりセンシティブなことを含むため、個人の信条が多少なりとも入り込むことは否定できないし、特集や予告などからどのような映画かはわかると思いますので、さっそく採点に入りましょう。

下記で4.5の評価にしています(4.4を4.5まで切り上げています)。

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 (減点0.2) 上記の通り、「日韓を取り巻くお互いの感情論」という、深い内容を扱う映画ですが、それに「真っ向から」扱っていないため、結果的に何を伝えたいのか、ゆらぎが生じてしまうところがあります(ほか、韓国における就職・転職事情(学歴社会のもたらす弊害など)、無関係なものも混ざってわかりにくい)。
配給会社のクロックワークスさんは、どちらかというと問題提起型の映画を多く扱うので、その点でも肩透かしを食らってしまいます(もっとも、伝えたい部分は伝わっていると思うので、減点量としてはこの程度)。

 (減点0.2) この映画は言うまでもなく韓国映画です。韓国映画といえば、だいたいの大都市なら、韓国映画をはじめとしたアジア映画を専門に扱うミニシアター(大阪市だと、シネマート心斎橋さん)などが多く扱いますが、鑑賞したのはなんばパークスシネマさん。つまり、韓国映画といっても、韓国の事情に余り詳しくない方も来られます。

その割に、字幕が丁寧でなく(「カンヌンに行く」と言われても何かわからない。「江陵」という地名が正しいが、これがわかる方は少ないのでは…)、さらにKTX(韓国の高速鉄道)など、「出るだけは出るが説明が何もない」部分が結構目立ち、予習していかないと何がなんだかわからないまま次々進みます(地名に関してはこれ以外でも、カタカナ表記「だけ」なところが出ますので、そもそも論で「どこに行こうとしているのか」すらわからない状況も起きる)。

 (減点0.2) 予告・特集からわかる通り、日本から諸事情があって韓国にやってきた男性と、韓国の家族との交流を描く映画です。当然、言語の壁はありますから、途中から意思疎通は英語になります。

 ところがこの英語での意思疎通、どちら(日本・韓国)の側の英語も無茶苦茶で、何を言いたいのかまるでわからない(会話文は現在形なのに、字幕は過去形で表記されている)ところがかなり目立ちます。英検でいうと3級(中学卒業程度)の程度の会話力もない状況で、「現在形と過去形の区別もつかない」「単語を並べただけで文法として成り立っていない」ような状況で、かなりイライラします。

 もっとも字幕「だけ」を見ていれば何の問題もないのですが、「時間ずらし描写」があることから「時制の表現ミス」は混乱を招きますし、この映画、日本と韓国以外でアメリカ・ヨーロッパなどで放映されるのなら、「日本・韓国の一般的な英語力はこの程度なのか…」と思われるのも不本意で(誰もかれも英検準1級や1級を持っていることも想定しないものの、3級程度の文章すら話せないというのは話にならない)、なんだかなぁ…というところです。
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yukispica