「自主制作らしい、愛らしいB級感」シュシュシュの娘(こ) wutangさんの映画レビュー(感想・評価)
自主制作らしい、愛らしいB級感
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ダンス、忍者装束、吹き矢、そんなわけないものに静かに熱心に努力をしていく主人公の姿が愛らしくも可笑しい。これが最終的に既存ヒーローのパロディかのようなところまで成長することで映画がクライマックスを迎える。このコメディともシリアスともつかない温度感はサクッと受け入れられた。つかさ先輩との情事の後の美宇が歩く歩幅にもそんな中間色の彩りを感じたし、彼も忍者だというトゥーマッチな設定もそうだった。ちくわ好きという設定もまさにその意味で絶妙だった。自主制作らしいB級感溢れる作風だと思う。
基本的にこの映画は、この絶妙な味わいを楽しむものだと感じていて、政治批判みたいなものは主題ではないと捉えた。本を書くきっかけにはなっているだろうけど、この映画が訴えたいことでは全くないように感じる。でなければこんなB級な描き方をしてはいけないと思う。
閉鎖的な環境にある田舎町を舞台にするにあたって、リアルとディフォルメの間を行き来しながら、飽くまでこの主人公の背景として存在しているんだと捉えると、あまり不自然にも興醒めにも感じなかった。
ただ、やはりそう捉えても雑味は多かったと思う。
僕が捉えた通りの狙いなのだとしたら、間野さんの自殺は明らかに重すぎる。このあたりが、何をしたいのか分からない映画にさせてしまっていて、それは結構大幅に減点要素かなと思った。
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