「シドニアがあの形状である理由」シドニアの騎士 あいつむぐほし Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)
シドニアがあの形状である理由
TVシリーズを観てその内容と展開の面白さに惹かれた3DCGアニメです。当初はギャグテイストな展開あり、またグロい表現もありと緩急変化と抑揚高下のメリハリで全く飽きない“面白い”作品の完結編です。また同じ作者の『BLAME!』も同じ3DCGで劇場版アニメ化され、コチラもナカナカのものでした。当然ながらこの作品も期待は高く満を持しての鑑賞となりました。
結果、衛人の戦闘シーンなど精密な動きや、谷風以下登場人物の日常パートなど見どころ満載で、映像の迫力+音の迫力で大満足の出来でした。特筆はガルパンでおなじみの『岩浪』音響。とにかくデカい音で胃が振動します。そして国内2大3DCGアニメ制作会社の片翼:ポリゴン・ピクチュアズによる緻密な表現となめらかな動きは、何となくTVアニメ版から進化したようにも伺えました。
緩急・抑揚のメリハリのあるシナリオも面白かったのですが、コチラは要所で少し駆け足気味に展開していたのが多少気になるものの、内容としては大満足の出来。そしてコレ程までに広げた風呂敷をピシッとキレイに畳む構成力で、総評としては最高の作品です。
衛人と呼ばれる人型兵器は『掌位(しょうい)』と言う高速移動のシーンや戦闘時における機体のディテール表現などがシッカリ描かれています。が、やはりコレも宇宙戦となるシーンは動きが早すぎて目が付いていけず、もう少しスローでも良いかなと。
そしてこの物語の序盤で起きた伏線が、この様な形で回収されるのは予想外ながら感動する部分です。ただここに至るまでのもう少し具体的な描写があれば尚可、と言ったところでしょう。
唯一、疑問が残ったのは落合がシドニア滅亡を企む理由でしょうか。ガウナと共生するとか究極の生命体を目論んだとかの反人類的思想や、過去に小林らに受けた仕打ちだけでは、その遺恨の根拠としては何となく足りない気がしました。
従ってホントは★4.85くらい?なのですが、この様な評価となりました。
当初からコミカルな表現とは裏腹にイロイロと絶望の縁をウロウロする物語でしたが、最後は胸熱なハッピーエンド?で締めくくられ大満足のコンテンツの一つに。そしてあのオチでシドニアのデザインがあんな形な理由が解った様な気がしました(実際そうなのかどうかは不明)。