「音は映像並みに重要」ようこそ映画音響の世界へ 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
音は映像並みに重要
映画における音は、映像の従属物扱いを受けがちなところがある。「あの映画の、あのシーンすごい映像だったね」と感想を言い合う光景はたくさん見かけるが、「あの映画の、あの音すごいね」とはなかなか言ってもらえないように映像ほどに注目してもらえない(音楽は別だろうが)。でも映画において、実は音は映像並みに重要なのだ。少なくとも名だたる巨匠はそのことをわかっている。このドキュメンタリー映画を見るとそれがよくわかる。
この映画は、あの映画の名シーンにさりげなくついている効果音があるからこそ、感動的なのだという瞬間をいくつも見せてくれる。音がないと陳腐な映像も絶妙な効果音で見違える。
筆者は自然音が効果的に使われる作品がすごく好きだ。この映画で取り上げられている作品だとアルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』あたりだ。環境音がたんなる雰囲気作りだけでなく、感情を高める効果に使われている作品だった。
近年、ドルビーアトモスなどの特殊音響上映が人気になっているので、音への注目度が上がっている。良いことだと思う。音を知ると映画の感動はもっと深まる。この映画を見て、映画の感動をどんどん深めてほしい。
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